「定年後にまったり農業をしたい」という父。東京出身で会社員しかやったことがなくても「農家」になれるのでしょうか?
定年後に、なにか新しいことをしたいと考えて、農業を始める方もいます。しかし、子どもからすると、「本当に、未経験の人が定年後に農業を始められるの?」と不安になるでしょう。 今回は、農業を始める方の年齢や、農家の収入についてご紹介します。「何歳で農業を始めるケースが多いのか」や、「就農後の年数による所得の違い」を知っておくと、定年後に農業を始めたい方にとって参考になるかもしれません。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
農業を始める年齢は何歳?
農業を仕事として始めることを「就農」といいます。一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターが実施した、「新規就農者の就農実態に関する調査結果 -令和3年度-」によると、就農時の年齢の割合は、以下の通りです。 ●29歳以下:14.3% ●30~39歳:47.2% ●40~49歳:31.6% ●50~59歳:5.0% ●60歳以上:2.0% 最も多い就農年齢は、30~39歳で47.2%でした。一方、最も少ない就農年齢は、60歳以上で2.0%となっています。調査結果から考察すると、定年後に就農する人は珍しいといえるでしょう。
農家の収入はどれくらい?
一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターの同資料によると、農業所得の全体平均は178万4000円でした。所得階層は100万円以上300万円未満が31.0%で、最も多くなっています。 しかし、就農後の経過年数ごとに平均農業所得と、最も多い所得階層を比較すると、表1のようになります。 表1
出典:一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センター「新規就農者の就農実態に関する調査結果 -令和3年度-」を基に筆者作成 3年目以降は、「100万円以上300万円未満」が最も多い結果となっていますが、就農初年度や2年目は「農業所得0円」が最も多く、稼ぎが出ていないケースもあることが分かりました。新規就農をする場合、最初は「設備投資や作物を育てるためのお金がかかること」「利益が出にくいこと」を理解しておきましょう。 定年後に就農する場合は、貯金や年金で費用を賄えるか、事前にある程度算出しておくことをおすすめします。