不安定な時代を心穏やかに生き抜くために─効果は絶大!? 記者が「ネガティブ・デトックス」を試してみたら
私たちは常日頃、ネガティブな情報に晒され、知らぬうちに不幸になっている。だからこそ、その負の根源を断ち切ってしまえば、不安に苛まれストレスに押しつぶされることなく生活できるのだという。その方法は意外と簡単。そこで記者が2週間、ネガティブな感情をデトックスすることに挑戦してみた。 【画像】「ネガティブ・デトックス」で効果的なのは自分がいつか死ぬという事実を見つめること ニュースをつけてみても、ネットフリックスを観てくつろごうとしても、現代社会が寄せる多くのメッセージはネガティブなものだ。重苦しさに対しては容易に免疫ができるので、絶え間ないその打撃が自分にどれほどの影響を及ぼしているか、あなたは気づいていないかもしれない。なぜなら人間の脳は、ネガティブなものに焦点を当てるよう生まれつき作られているからだ。それは、生存に結びついている。 「私たちの7つの主要な感情は、『怒り』『軽蔑』『恐れ』『嫌悪』『喜び』『悲しみ』そして『驚き』です」 そう話すのは、『ネガティブ・デトックス──ポジティブさを増進し、恐れを軽減し、成功を後押しするための実証されたテクニック』(未邦訳)の著者アンソニー・イアナリーノだ。 「主要な感情の5つがネガティブなものです。『驚き』がたまたまポジティブなものでない限り、『喜び』だけがポジティブなのです」 イアナリーノは、自分のメンターからこう告げられて初めて、自分の人生にネガティブさがどれだけ影響を及ぼしているか気づいた。 「ねえ、君はすごく怒っているね。君が心配していることは、一体どんなものだろう? それらについて、君にできることは何もない。君にできる最善のことは、ただそれらを手放して、家族を大切にしようと努めることだ」
自分があと何週間で死ぬのかを数える
「ポジティブさとは選択するものであり、ネガティブな状態に逆らってポジティブな状態でより多くの時間を過ごすことは可能だ」と、イアナリーノは言う。半年かかったが、彼はついにメンターのアドバイスを取り入れ、30日間にわたりあらゆるネガティブの源を取り除くことにした。 「雑誌、新聞、本は一冊残らず生活から取り除きました」と彼は振り返る。 「さらに、自分をポジティブよりもネガティブにさせていると感じる人たちを、人生から取り除いていきました。周りを見回して、あらゆるネガティブな物事をチェックしたんです」 30日間が終わり、イアナリーノは結果にとても満足したので、さらに30日間、そしてさらに30日間と続けた。3度目の「30日ネガティブ・デトックス」では、ポジティブな情報のみを消費した。 「長年かけて頭のなかに詰め込んでいた、あらゆるネガティブなものを吹き飛ばしていったのです。すごく効果がありました」 イアナリーノは「理性感情行動療法」の創始者アルバート・エリスの仕事についても学んだ。エリスは、「出来事(activating event)」、その出来事の意味についての「信念、認知(belief)」、それに対する反応という「結果(consequences)」から成る、「ABC理論」を提唱した。 「たとえば、道で誰かの車が割り込んできたとしても、あなたは彼らを『あおり運転をしているとんでもない人間だ』と考えることもできれば、『彼らは誰かが病気になったか何らかの強迫を受けているかして、家路を急いでいるのだ』と考えることもできます」とイアナリーノは説明する。 「信念または認知を変えることができれば、あなたはもうネガティブな考えに誘導されることはないでしょう。これは、ネガティブ・デトックスの最も有効な方法の一つです」 効果的だったもう一つの手段は、自分がいつか死ぬという事実を見つめることだった。北米の平均寿命は78.2歳、つまり4108週に相当する。イアナリーノはカウントダウンアプリを利用し、自分にあと何週間残されているか教えてもらっている。 「私はもうすぐ、残り約1300週になります」と彼は言う。 「こんなことは不健全だと、よく人からは思われます。でも、私がこの世にいるのは短いあいだです。人はここにいるあいだに、やりたいことは何でもやるべきだし、自分にできる最高の貢献をしようと努めるべきです」