不安定な時代を心穏やかに生き抜くために─効果は絶大!? 記者が「ネガティブ・デトックス」を試してみたら
まずは、一週間だけポジティブになってみた
「ポジティブさ」という言葉は、なんというか、ポジティブに聴こえる。だから私は、一週間ポジティブ側に天秤を傾けて過ごし、何が起きるかを確かめることにした。 まずは、ニュースから始めた。自分がコーヒーを味わいながら目にする朝のニュース番組は、恐怖を煽ることに注力していると気づいた。夜には、平日ならたいてい『ABC ワールド・ニュース・トゥナイト・ウィズ・デビッド・ミュアー』を見る。放送はいつも明るい話題で終わるが、その一方で、冒頭25分の報道は、ほぼ不安を抱かせる内容だ。 私は朝のニュースを、ウォーキングと気分を上げてくれるポッドキャストに替えた。『ワールド・ニュース・トゥナイト』のウェブサイトにアクセスしてみると、最初に悪いニュースを丸ごと見ることなしに、ポジティブなニュースに辿り着くことがきるのも学んだ。 ニュースをおさえたいときには、「NPR(米国公共ラジオ放送)」や「AP通信」といった中立的なソースで、見出しに素早く目を通した。何か重要なことを見逃してしまうのではないかという心配はご無用だと、イアナリーノは説明する。 「これこそ、自分の見ているものを排除するよう提案されると人々が抱く懸念の一つなのです。彼らは『世間で何が起きているのか、どうやってわかるだろう?』と思います。 約束しますが、そういうことについては誰もが話題にしているし、あなたとシェアしようとするでしょう。世界では悪いことが起きているんだと、人々が変わらずあなたに理解させようとしてくれるわけです」 私は自分をネガティブな人間とは思っていなかったが、愚痴ばかり言っていて、とくにあら探しをしたり比較したりといった低レベルなことをしているのにも気づいていた。私だけではない、とイアナリーノは言う。 「人間はたくさんの愚痴を口にし、自分ではそうしていると気づいていないこともよくあります。そのせいでいっそう不安になり、ストレスが溜まります。鬱など、精神的な問題を抱えることにも繋がりかねません。解毒剤は、感謝することです」 イアナリーノは私に、「ポジティブ心理学の父」と呼ばれるマーティン・セリグマンの、「3つの良いこと」エクササイズを取り入れるよう勧めた。毎日、自分にとって良かったことを3つ書き出してみるのだ。イアナリーノは、こう説明する。 「セリグマンの調査によると、それは薬物よりも強力で、不安やストレスを感じたり憂鬱になったりすることを、半年間も避けることができたといいます。書いた事柄を見直してみると、自分にはたくさんの良いことが起きていたことがわかるようになるんです」 私はクリスマス前にネガティブ・デトックスをしたが、例年はすべての準備を整えなければならないために感じていたストレスが、この年は生じなかった。「3つの良いこと」の訓練が、自分には感謝すべきことがたくさんあると気づかせてくれ、そのおかげで他人に対してより忍耐強くなれたのだ。またABC理論は、私が結論に飛びつくのを避ける一助となってくれた。 第1週目の終わりまでに、より穏やかな気分になれたので、もう1週間続けた。たった2週間ネガティブを避けることで、自分が消費したいものがいかに変化したかということに私は驚いた。 イアナリーノは20年以上ネガティブ・デトックスをしている。私もまた継続中で、自分が消費するものにより気を配っている。イアナリーノは、多くの人はネガティブ・デトックスを続けることを選ぶと語る。 「ネガティブ・デトックスをすると、怒り、ストレス、不安をはるかに減らすことができます。自分の人生に起きていることを、ずっとコントロールできていると感じられるのです」
Stephanie Vozza