琵琶湖に浮かぶ聖地「宝厳寺弁才天堂」 登録有形文化財に 文化審答申
国の文化審議会は22日、竹生島(ちくぶしま、滋賀県長浜市)の「宝厳寺弁才天堂(ほうごんじべんざいてんどう)」と、旧中山道柏原宿(同県米原市)の「旧山根家住宅店舗兼主屋」の2件を新たに登録有形文化財にするよう文部科学相に答申した。正式に登録されると、滋賀県内の登録有形文化財(建造物)は502件となる。 【写真】宝厳寺弁才天堂の内陣 宝厳寺は西国三十三所の第三十番札所。明治時代の神仏分離で、竹生島は宝厳寺と都久夫須麻神社に分かれ、弁才天は別の場所に仮安置されていた。昭和に入り、弁才天を安置する本堂再建の動きが高まり、昭和17年に本堂にあたる弁才天堂が完成した。 前方に土間の礼堂、後方の正面三間に内陣、両端一間に脇陣を配置した中世仏堂の平面形式を持ち、傾斜の緩やかな屋根や蟇股(かえるまた)などの細部も平安時代の和様を意識している。 旧文部省の技師として全国各地で文化財保存修理に携わり、日本建築史に精通した乾兼松が設計した近代の復古的な本堂として重要な建築物と評価された。 旧山根家住宅店舗兼主屋の建築年代は、明治時代中期と推定される。 西側の主屋の外壁は、白く漆喰(しっくい)で塗り込められた2階と格子を並べ落ち着いた1階の対比が美しい。東側の店舗棟は街道には珍しい城郭や寺院の櫓を想起させる外観となっている。 山根家は柏原村長などを輩出した旧家。明治34年には当主の山根佐太郎が発起人となって「柏原銀行」を設立し、昭和18年に一県一行政策により解散するまで42年間、銀行店舗として使用された。 平成14年に旧山東町が建物を受贈。20年に外観を残して内部を改修し、現在は福祉交流センターとして活用されている。