はじめから予想されていた!? 大河ドラマ「花燃ゆ」苦戦のワケ
女優・井上真央主演で、今年1月4日に放送開始したNHK大河ドラマ『花燃ゆ』。初回視聴率は16.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、歴代ワースト3位、最近15年間で放送された大河ドラマの中で、最も低い視聴率でのスタートとなった。その後、巻き返しを期待されながらも、初回視聴率を超えることはなく、12~15%台の間を行き来きしつつ、今月15日の第7回放送では11.6%と依然苦戦が続いている。
当初からあった「主人公が地味」との声
そもそも同作に関しては、井上扮する主人公が、幕末の思想家の吉田松陰の妹・文ということで、放送前から「地味ではないか?」と不安視する声もあった。 知名度の高くない、しかも女性の主人公というと近年では“ファンタジー大河”と一部から揶揄された11年放送の上野樹理主演『江~姫たちの戦国~』や平均視聴率が歴代ワースト4位を記録した13年放送の綾瀬はるか主演『八重の桜』が思い出される。 過去の失敗を顧みず、NHKはなぜ“地味”な主人公にこだわったのか?
NHKが狙う若い女性視聴者層の開拓
芸能評論家の市川大介氏は語る。 「近年、“歴女”なる歴史好き女子の登場で、歴史モノの番組では若い女性の視聴者が増えていますが、大河ドラマは依然中高年層が中心。しかし、NHKとしては新しい視聴者層、特に若い女性層の開拓を狙っている。08年放送の宮崎あおい主演の『篤姫』は、13代将軍・徳川家定の正室の篤姫という歴史の影で活躍した人物ににもかかわらず“家族”や“夫婦の絆”といったテーマで女性層から絶大な支持を集めて、大成功を収めた。言うなれば『篤姫』の成功をもう一度という思いが、いまだに強いのでしょう。しかも『篤姫』は放送後、幕末の薩摩藩史が再検証されたり、これまであまり注目されていなかった小松帯刀にスポットライトが当たるなど、新たな歴史ブームを起こした功績もある」 『花燃ゆ』が女性視聴者層を意識しているのは、キャスティングを見ても明らかである。 松下村塾の主宰者で、文の兄の吉田松陰=伊勢谷友介を始め、小田村伊之助=大沢たかお、高杉晋作=高良健吾、久坂玄瑞=東出昌大、吉田稔麿=瀬戸康史と、これでもかと言わんばかりにイケメン俳優が脇を固めているのである。