パン好き、コーヒー、ビール習慣…「感染しやすく不調が長引く人」の特徴と対策
本格的な夏の到来とともに、新型コロナウイルス感染をはじめ、体調不調を訴える人が増えています。自身が体調を崩してしまったという人も多いのではないでしょうか。そんなときは食事をとることも億劫になりがちですが、体調管理のためにはやはり食事のバランスが大切です。そこで今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、感染後の不調を長引かせない食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます! 【保存版】感染後の不調を乗り切る食事とは…「感染しやすく不調も長引く人」のNG習慣まとめはコチラ
感染症を長引かせないために必要な食事とは
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 275 今、新型コロナウイルス感染をはじめとした不調が増えていますよね。コロナの第11波到来ともいわれるほどで、新型コロナウイルス感染症の症状と熱中症と風邪との区別がつかないということもあるようです。また、コロナの変異株は、その後遺症である味覚や嗅覚の異常や風邪症状が3週間から1か月も続くこともあり、従来の株よりも長引く特徴があるようです。 この蒸し暑い中、不調が続いていたら何をするのも億劫になってしまいますよね。夏バテしていたり、暑苦しくて寝不足になっていたり、食欲がなく偏食になっていたりする人は、免疫機能がうまく働かず新型コロナウイルスや風邪に悩まされたり、その回復が遅くなる傾向にあります。 夏休みやお盆などで遠出する予定のある人は、様々な不調をいつ感じてもおかしくない時期なので、体の基礎となる食事を面倒だとか、忙しいということを言い訳に乱さないように意識していきましょうね。ということで、今週は感染後の不調を長引かせないための食薬習慣を紹介していきます。 今週は、感染後の不調を長引かせない食薬習慣 最近、様々な不調に悩まされる人が増えています。とくに新型コロナウイルス感染症も流行し、体調管理の重要性を再認識させられますね。コロナにかかると、その不調を長引かせる人も非常に多いです。 暑苦しかったり、気温差や気圧の変化が多いと食事を作ることも面倒になり、菓子パンやレトルト、お惣菜を食べる機会が増える人も多いと思います。野菜や海藻類などを食べることが減り、お腹の調子が悪くなったり、全身のだるさを感じたり、疲れやすくなったりすることはないでしょうか。 もしそう感じていたら、免疫機能が低下し、コロナや熱中症、風邪などに悩まされやすい状態かもしれません。今後、電車や新幹線や飛行機などに乗り、人が多いところへ行ったり、エアコンがきついところに長時間いたり、口を開けて寝ていたりすると、いつ体調を崩してもおかしくありません。 また、いったん食事のバランスが乱れると、糖質や濃い味のもの、アルコール、カフェイン、高脂肪食品などを欲しやすくなり、お腹がすいて栄養を補充する目的の食事ではなく、依存心を満たす食事となってしまい、健康につながらない食のサイクルに陥ってしまうことも多いです。一度、繊細な味覚を鈍感にしてしまうと、元の状態に戻すのに時間がかかりますよね。体調管理には、味覚を研ぎ澄まし、本能的に欲する食材と体に必要な栄養が近しいことが理想です。 体調に自信がない人は、まずは味覚を整えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。漢方医学では、新型コロナウイルスや風邪にかかってしまいやすいバリア機能が低下している状態を『衛気』が不足していると考えます。また、偏食が習慣化されたり、寝不足が続くことによって炎症を起こしやすい状態である『湿熱』がたまっている状態も不調を生じやすく、長引かせやすいと考えます。 そこで、今週は『衛気』を補い、『湿熱』がたまるような食事を控えることがおすすめです。今週食べるとよい食薬は、【玉ねぎと切り干し大根の酢の物】です。 そして逆にNG習慣は、『湿熱』がたまり、炎症を長引かせてしまう【食事代わりのパン】です。 食薬ごはん【玉ねぎと切り干し大根の酢の物】 調味料で戻すことのできる切り干し大根は、面倒な日の健康維持に便利な食材です。ケルセチンやアリシンを含む玉ねぎで『衛気』を補い、腸を動かし、腸内環境を整える切り干し大根をお酢であえることで、『湿熱』を取り除くことにも役立ちます。 <材料>2人分 タマネギ 1/2個(スライス) 切り干し大根 10g 乾燥わかめ 5g (かるく砕く) 酢・水 各大さじ2 みりん・醤油・オリーブオイル 各大さじ1 鰹節 1握り <作り方> ポリ袋に入れよくもみ、15分おいたら完成。切り干し大根は、サッと洗い、水に戻さずに調味料をしみこませるように使うと栄養素もうまみも全部取り入れることができ、手間が省け時短になりメリットが多く便利です。 NG行動【食事代わりのパン】 料理が面倒なとき、忙しいとき、移動が多いときなど、とりあえず菓子パンや総菜パンを食事代わりにしてしまうことってないでしょうか。空腹を満たしたり、一時的に満足感を与えるためには役立ちますが、夏そして秋冬の感染症がさらに拡大する時期の長期的な免疫のケアとしては、よいとは言えません。 先のことよりも今日が大事! とその瞬間は思うかもしれませんが、いざ感染してしまったときに、身の回りでコロナにもかからず、風邪もひかない元気な人を見てしまうと、この体の違いは何だろうと思ってしまいますよね。100%食事の影響ではないにしろ、体を構築する食事の内容を見直すことは、必ず何か体に対してメリット与えることになると思います。 そして、菓子パンや総菜パンを食事と置き換えて食べることにより、本来取り入れることができたはずの栄養素が不足してしまうため、弱い体を作ってしまったり、バリア機能を強化する腸内環境を乱してしまったり、メンタルを乱してしまう血糖値の乱高下を起こしてしまうことがあります。不調が長引くときには、大変だと思いますが和定食を意識した食事を取り入れてみましょう。 熱中症で体力がなくなり、感染リスクが上がる場合もあったりと夏は様々な不調に気をつけなればなりません。コロナにかかると周りの人にも気がつかないうちに迷惑をかけてしまうこともあるので、夏の体調管理はマナーのひとつとして考えていきたいですね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)や新刊『だる抜け ズボラ腎活(ワニブックス)』でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 ※食薬とは… 『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。 近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。 ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。 Information <筆者情報> 大久保 愛 先生 漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。 公式LINEアカウント@aika ©ayakono/Adobe Stock
大久保 愛