大阪市ポンプ場爆発事故の「その後」 爆風で家や車壊れるも…被害補償に難色を示された住民夫妻の悲痛な訴え
今年9月、大阪市西区の下水ポンプ場で起きた爆発事故。爆発の衝撃で周辺マンションの部屋の窓ガラスや車も壊れましたが、市側からは「誠意に対応する」と話すだけで補償は進まず…。「普通の生活をしたいだけなのに」こう訴えた住民夫妻のその後を追いました。(取材・報告=的井文謙記者)
■目の前のポンプ場が突然爆発…爆風で部屋のガラス散乱
「次いつ起こるかもわからんし、5歳の娘は怖い怖いって言っているんです」 大阪市西区に住む須原さん夫妻。今年9月、予期せぬ出来事に見舞われました。 自宅マンションからわずか10メートルほど先にある、市の下水ポンプ場「長堀抽水所」が突然爆発したのです。市の職員など4人がケガしたほか、爆発の衝撃で近くの車は横転し、ポンプ場のフェンスは歪みました。
須原さん夫妻の部屋も爆風などで窓が割れて散乱し、家具が壊れるなどしましたが、当時家には誰もいませんでした。 須原さん 「本当に人がいなくてよかったなというのがまず一番。誰かおったらケガどころじゃすまない可能性もあったと思いますし」
■市側「修理費用は立て替えて」にあ然…補償進まず
一方で、壊れた窓や傷ついた車の修理費用などは総額250万円ほど。須原さん夫妻が市側に対し、補償について問い合わせると、驚きの答えが返ってきました。 須原さん 「いったん全額立て替えてくださいと。車も立て替えろと言われたので、それはおかしいんじゃないかと。大金持ちじゃないのでそんなお金も出せるのはしれてますと話しましたが…」
市側は補償について、何度問い合わせても「誠実に対応する」と話すだけで、具体的な話は進まず…。妻の愛理さんは精神的に追い詰められて体調を崩すほどに。 爆発事故から3週間経って初めて開かれた住民説明会では、他の近くの住民からも補償や施設の危険性に対する不信や不満の声が相次ぎ、説明会は大紛糾。須原さん夫婦は説明会終了後も会場に残り、市の職員らに回答を求めましたが、納得のいく答えを得ることはできませんでした。
■事故から2か月経ち…ようやく進展が
状況が変わらないことに筆者も悶々としていましたが、事故から2か月が経った11月に入り、須原さん夫妻から連絡がありました。 須原さん 「その後も話し合いを重ねた結果、ハウスクリーニング代や壊れた家具代は全額補償されることになりました。報道し続けてもらいありがとうございました」。 嬉しい知らせでしたが、そこに至るまでには、須原さん夫妻から市側に何度も何度も問い合わせするなど、かなりの負担があったということです。 大阪市によると、爆発による車や住宅の窓の破損などの被害は他にも26件報告されていて、市は被害者との補償について話し合いを進めているということです。