【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第8ステージ】カニバルか、ノーギフトか。ポガチャルが2日連続勝利で、8ステージを終えて3勝目。「きっと他の選手たちはうんざりしてるだろう。でも僕は自分のチームのために走っている」
「捕まるまで全力で行こうと決めていた。朝から調子がすごく良くて、だからこそ逃げがこんな風に終わってしまったことにがっかりしてる。だってみんなでまとまって走りさえすれば……あと1分半余計に差を開けていたら、逃げ切り勝利を争うことはできたはずだから」(ヴァランタン・パレパントル)
背後では、UAEの山岳牽引役フェリックス・グロスシャートナーが、非情なテンポを刻んでいた。前日マリア・ビアンカを手にしたばかりのルーク・プラップはあっという間に脱落し、この日の最終峠を制した経験を持つアレクセイ・ルツェンコも振り落とされた。あまりに高速だったせいか、山道の途中の中間ポイントでは、誰もあえてボーナスタイム収集には行かなかった。
ラスト5kmで、ポガチャルが誇る最終アシスト、ラファウ・マイカが作業を引き継いた。素早くパレパントルを回収しつつ、猛烈なペースで上り続けた。背後で、他チームのエースたちは一列に並び、ただ黙々とペダルを漕いだ。初夏の強い日差しの下で、奇妙なほど静かなせめぎ合いが続いた。
ようやく反抗の口火を切ったのは、アントニオ・ティベーリだった。ラスト2kmのアーチをくぐり抜けた直後、22歳の若手はアタックに転じた。新人賞争いのライバル、21歳キアン・アイデブルックスがすかさず追随。さらには同じくマリア・ビアンカ候補の24歳テイメン・アレンスマンだって、大胆に加速を試みた。……ただ昨夏まで4年連続でツール・ド・フランスの新人賞を独占し、今年ついに「大人」になったポガチャルが、すべてに軽々と反応し、あらゆる攻撃を無効化してしまったのだけれど。
しかも攻撃が鎮まったタイミングで、ラスト600m前後、マイカが再び最前列へと舞い戻ってきた。34歳ベテランは、最後の力を振り絞り、エースのための発射台役を務めた。
「きっと他のチームの選手たちはうんざりしてるだろう。十分に分かってる。でも僕は自分のチームのために走っている。チームメイトは僕のために1年中働いてくれている。ここにいる仲間はひたすらジロのためだけにハードな調整を積み、強いチームを作り上げてくれた。だからみんなの望むことに、僕は耳を傾ける必要がある」(ポガチャル)
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