マ軍がイチローと早期再契約を結んだ複雑な背景
この夏には、こんなスキャンダルがあった。 ある盗聴された音声ファイルが、本来は表に出ない球団の決算報告書をすっぱ抜くなど、きわどいネタを扱う「デッドスピン」というサイトに持ち込まれた。極めて聞き取りにくいものだそうが、こう再現されている。 女性:スコット・ボラスから電話です。 男性:ボラスに言え、お前のクライアントがマイナーに落とされたのは、デブで、怠けもので、ドミニカのクソ野郎だからだってな。 誰のことを話しているかというと、7月にマイナー落ちをしたマーセル・オズナのことで間違いないよう。降格は不振が原因とチームは発表したが、調停権を得る時期を遅らせるために、マイナーに落としたとの見方がもっぱらで、代理人のボラスはそのことを批判していた。この電話はおそらく、そのことに関してのものと推測される。で、後者の男性の声を聞く限り、サムソンではないかとデッドスピンの記者は疑うわけだが、それをマーリンズの広報に連絡して確認しようとすると、1時間もしないうちに、サムソン社長本人から直接、抗議の電話があったという。 サムソン社長はもちろん否定。「誰かが、俺をクビにするためにでっち上げたんだ」とまくし立てる。その時、「もし、その音声の主が俺だとするなら、弁護士とそこへ乗り込む」と脅したそうだ。デッドスピンが、そうした経緯もすべて活字にしたことで、明らかになった。 結局、デッドスピンが情報提供者にさらに詳しく話を聞こうとすると連絡が途絶え、筆者も、ファンの誰かが、サムソン社長を嵌めるためにテープを作ったのかも、という結論に至っているが、それも非難できないとしている。 サムソン社長はかつて、マイアミの人を「愚かな連中だ」と扱き下ろした。新球場の費用を地元自治体に負担させるため、「我々は、移転するかのように振る舞った」と口を滑らせた。球場建設をめぐっては、税金の使い方をめぐり、訴えられた。さながら彼は、マイアミの人にとってパブリックエナミーなのである。