子宮内に装着する避妊具「ミレーナ®」って、実際どうなの?手術時の痛みやメリット・デメリットを日本人産婦人科医が解説
SRHR(性と生殖の健康と権利)という概念がなかなか浸透せず、海外に比べて避妊具の選択肢が圧倒的に少ない日本。今、SNSを中心に話題になっている、2007年に認可された避妊具「ミレーナ®」について、専門家に聞いた。 【写真】「親になることはない」レオナルド・ディカプリオほか、子どもを産まない&持たない選択をしたセレブたちの本音 有名人が装着していることをカミングアウトし、話題になっている「ミレーナ®」は、海外では主に「IUS」、日本では「子宮内避妊具」「避妊リング」などと呼ばれる。 「医学用語では“子宮内黄体ホルモン放出システム”と呼ばれるもので、小さなT字形の装置から黄体ホルモンが子宮内で少しずつ分泌されます。日本だと子宮内避妊具とも呼ばれるので、避妊だけが目的のものだと思われがちですが、過多月経や月経困難症により選択される方も多い。避妊目的の場合は保険適応外、過多月経や月経困難症の場合は保険適応になります。血栓リスクなどによりピルが飲めないという方にもおすすめしています」と語るのは、産婦人科医の高橋怜奈医師だ。 今まで40代以上の経産婦が選択するケースが多かったが、最近ではSNSを通じて若い世代にも広がっているという。 「32㎜程度の小さな装置ですが、子宮に装着するため、出産経験がある方のほうが装着はスムーズです。希望する人は、ピルの飲み忘れが心配な人、一度装着すると5年は持つのでトータル的に考えてコスパがいいと考える人もいます。実際、避妊目的の自費だと5~10万円程度かかりますが、それでもピルを5年間飲み続けるより安価で、保険診療であれば1万円ほどで装着することができます」 「ただ、挿入時に痛みを感じる方もいます。感覚としては子宮体がん検査のような痛みを挿入時に感じる方が多いようですが、挿入してしまえば入れていることを忘れてしまうほど何も感じない人がほとんどです」 ミレーナ®もピルも働きはほぼ同じ(ただしミレーナ®は排卵を抑制しないのでPMSへの効果は期待できない)で使用方法や形状に違いがあるだけ、大事なのは選択肢が多いこと、と高橋医師は強調する。 「海外では避妊目的でも月経トラブルなどの治療でも、複数の選択肢があります。ところが日本では、ピルですらなかなか使用率が伸びません。ミレーナ®の認知が深まることで、さまざまな選択肢があることを女性にもっと知ってほしい。自分に何が合うかは、ライフスタイルや性格などと合わせて医師に相談するといいでしょう」
From Harper's BAZAAR November 2021