拡大するリテールメディアの現在、若年層の新規顧客層取り込みで効果、データを販促や商品開発に活用
三菱食品は「データ×デジタル(DD)マーケティング」を掲げ、急速に進化する、デジタル・生成AIなどの技術を徹底的に活用することで、新たな仕組みを構築し、需要創造につなげるとしている。レシピサイト「クラシル」などを運営するdelyや、人流ビッグデータを収集・分析するunerryと提携し、アプリ等によるデジタル広告や店内サイネージを掛け合わせた施策により、小売業の集客やメーカーの売上増などの成功事例を積み重ねているという。 伊藤忠食品は10月までに、SM等の店頭で展開するデジタルサイネージの設置場所を売場のみならず店舗入口やレジ前などに拡大し、設置台数が1万台を突破した。10月7日に、セルフサービス機器やITソリューションを手掛けるグローリーと東急ストアとともに、リテールメディア事業におけるデジタルサイネージ広告での協業を開始した。
〈CVSのリテールメディア、既にアプリは大きく展開〉
コンビニエンスストア(CVS)大手においては、既にアプリは洗練されてきており、差別化に繋げにくい中で、ここでは割愛するがポイント還元施策などが目に付くようになってきている。SMと異なり自社開発商品が多いCVSでは、アプリ販促もSMと少し異なるのだろう。 そうした中で1つ注目されるのが「デジタルサイネージ」の分野だ。ファミリーマート(ファミマ)が10月9日、発表した決算では、店内設置のデジタルサイネージによるリテールメディア「FamilyMartVision」を中心とする広告・メディア事業が利益を押し上げており、細見研介社長は「将来を切り開くことを感じさせる決算」と評した。細見社長によれば、同メディアの広告主の6割は同社に商品を納入していない企業であり、小商圏を活かし、地域の求人などの広告も多く獲得しているそうだ。
同社は「FamilyMartVision」とアプリ「ファミペイ」を組み合わせてコンビニのメディア化を図り、魅力的な商品やサービスを提供することで顧客との接点拡大を図るとしている。 なお、セブン&アイ・ホールディングスの井坂隆一社長も、国内・海外の店舗網を活かし、大型店とは異なったリテールメディアによる顧客との接点づくりに取り組んでいくと話している。
食品産業新聞社
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