サウジアラビア発アニメが日本放送 「脱石油」で狙うエンタメビジネス【WBS】
中東のサウジアラビアと言えば、世界最大級の産油国ですが、いま「脱石油」として、原油に依存する経済からの脱却を目指し動き始めています。その一歩となるのが、「アニメ」です。11月からサウジアラビア発のテレビアニメが日本の地上波で初めて放送されるのを前に、10月28日、一足早くその試写会が行われました。どんなアニメなのでしょうか? アラビアのコーヒーとデーツが振る舞われているのは、都内で行われたアニメの先行試写会。中東各国の駐日大使や家族、サウジアラビア企業の職員などが招待されました。 上映されたアニメ「アサティール2 未来の昔ばなし」は、サウジアラビアの未来の都市を舞台に、伝統的な民話を子どもたちに伝えていくストーリーです。11月3日から、サウジ発のアニメとして初めて、日本でレギュラー放送されます(テレビ東京系列で放送)。 このアニメを手がけたのはサウジアラビアが拠点のアニメ制作会社「マンガプロダクションズ」。首都リヤドと東京にオフィスを構え、オリジナルアニメの制作や日本のアニメの海外への配給を行っています。「アサティール2」はマンガプロダクションズと東映アニメーションが共同制作しました。 マンガプロダクションズのブカーリ・イサムCEOは、「今回はおかげさまで日本の地上波放送が決まって大変うれしい。コンテンツを見て、ぜひ文化交流に貢献していきたい。私が子どものときに日本のアニメを見て、日本を好きになったのと同じように、多くの子どもたちがコンテンツを見て、サウジアラビアを近くに感じてもらえればありがたい」と話します。 石油依存からの脱却を掲げるサウジアラビアは今、国を挙げてアニメなどのエンターテインメント産業の育成に力を入れています。2019年には日本の「アニメエキスポ」をリアドで開催。3日間で約4万人を動員したほか、国家プロジェクトとして進める「キディヤシティ」では、アニメやゲームなどエンターテインメントに特化した都市の開発を目指しています。 サウジアラビアの政治的な実権を握るムハンマド皇太子も日本のアニメが好きなことで知られ、産業の育成を後押ししているのです。 「これからサウジアラビアとビジネスする際には、オイルマネーではなく、コンテンツマネー、エンターテイメントマネーだと考えてほしい」(イサムCEO) サウジのアニメ産業はさらに拡大するというイサムCEO。その規模については、「2030年までには中東のマーケットサイズは2倍、もしかしたらそれ以上に伸びる可能性が高い」と話しました。 ※ワールドビジネスサテライト