ジョーダン・ヘンダーソンが振り返る、リヴァプールがマドリードに敗れた経験の差。「勝つときも負けるときも全員一緒だ」
あれが故意のものなのかは、ラモスにしかわからない
マドリードは銀河系軍団だった。セルヒオ・ラモス、トニ・クロース、ルカ・モドリッチ、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウド。ガレス・ベイルは先発ではなかった。ただ、彼らのことは最大限にリスペクトしつつ、ひそかに、実際に戦えば彼らをあっと言わせることができると思っていた。相手は経験豊富で、この舞台もすでに知っているワールドクラスの選手たちばかりだが、われわれの強度には驚くのではないだろうか。 試合が始まると、最初の30分は互角だったが、ある出来事が試合の雰囲気を変えた。モー(モハメド・サラー)とセルヒオ・ラモスが相手陣の真ん中でボールを争っていたとき、ラモスがモーの右腕をつかんで引きずり倒したのだ。柔道の技をかけられたようにモーは地面に落ち、右肩を強く打った。故障したことは明らかだった。治療を受けたがプレーは続けられず、目に涙を浮かべながらピッチを去った。代わりに、3月終わりのクリスタル・パレス戦で怪我をして以来ほとんど出場がなかったアダム・ララーナが入った。 あれが故意のものなのかは、ラモスにしかわからない。経験豊富なプロフェッショナルが相手に与えた試練というところかもしれない。だがその試練は結局、審判の目が届かないところで行われ、なんのお咎めもなしにすまされてしまった。あの瞬間には、僕にも何が起こったかわからず、悪意のない行為に見えた。だがあとで動画を見直せば、意図について異なる解釈もできるプレーだった。 僕たちにとって大きな痛手だった。そのシーズン、モーはチームの護符だった。止められない日が何度もあった。というより、シーズンのあいだ、ほとんどずっと止められなかった。プレミアリーグに36試合出場し、32得点、さらにチャンピオンズリーグで10得点。シーズン合計44得点を挙げ、PFA年間最優秀選手賞を受賞していた。ハーフタイム前に彼を失うのは厳しく、うまく対処できたわけではないが、同点でハーフタイムを迎えた。