「ガッツポーズやりすぎだよ、演歌歌手みたい」中田璃士16歳が全日本フィギュアでみせた圧巻の演技「ノーミスしたら絶対に“大の字”をやりたいと…」
「全日本終わったら一回死んでもいいので」
そんな中田の心に火が付いたのは、一夜明けた後だった。 「(コーチである)父からは『毎日自分を追い込む練習をしてこなかったので、練習通りの結果』といわれました。言われたときは反撃したくなりましたが、後から考えると全部正しい。普段の練習では1つミスしたら演技を諦めちゃうので、練習不足が出ていたと思います。詰めが甘かったです」 ちゃんとした練習を積まないと、試合では結果が出ない。本来なら当たり前のことだが、ここまで天性の能力と精神力で勝ち抜いてきた中田にとって、新鮮で、そして初めての気付きだった。 「全日本選手権まで、いつもの100倍くらい練習します。この2週間、死ぬくらい練習して、全日本終わったら一回死んでもいいので。全日本選手権で大爆発します。ガッツポーズを、ショートで20回、フリーで80回、合計100回目指します」
「4回転を全部降りる自信はあります」
冗談のように聞こえるが、こんな言葉を本気で言えるのが中田のメンタル力でもあった。 全日本選手権に向けては、ジャンプ構成も一気に難度を上げた。シニアの試合のため、ショートでも4回転を入れることができる。ジャンプ構成を変え、ショートには4回転トウループ+3回転トウループを、フリーには初となる4回転ループを入れて練習した。 「フランスから帰国してからは練習量も増やしました。実は、GPファイナルまでは、曲かけの練習でもスピンを抜いたりしていたのですが、今回は、スピンもジャンプも全部入れて、演技の流れを崩さないでしっかりジャンプを跳ぶ練習を積んできました。4回転を全部降りる自信はあります」 ショートの滑走順は、今季限りの引退を表明している織田信成(37)の次に決定。しかし動揺しなかった。 「織田選手は『マツケンサンバ』なので、絶対に会場が沸くことは分かっていました。それに惑わされないように自分に集中しようと強く思って、演技直前までイヤホンをつけて音楽を聞いて、今の自分ができることに100%集中しました」 案の定、織田は4回転トウループを成功させる演技で、会場はこの日一番ともいえるほど沸いた。しかし、会場の空気が揺れるような大歓声を聞かないように意識することで、いつも以上の集中力が湧く。本番は、冒頭の4回転トウループ+3回転トウループを決めて会場の空気を一気にさらうと、ガッツポーズ。ジャンプを決めるたびに拳を握り、存在感をアピールした。 「ガッツポーズは、4回転降りたあと1回、3回転フリップのあと5回、演技終わって10回、挨拶で10回、キス&クライで5回。ありえない数をやりました(笑)。ジャンプを全部決めて、ステップもしっかりグラつかないで決められました」と笑顔を見せた。
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