イラン、弾道ミサイルでイスラエル攻撃-ネタニヤフ首相は報復誓う
(ブルームバーグ): イランは1日、イスラエルに向けて約200発の弾道ミサイルを発射した。これまでは主に代理紛争の形だった双方の戦闘が、ここに来て直接攻撃という形で大きくエスカレートした。イスラエルのネタニヤフ首相は報復を誓った。
攻撃が始まったのはイスラエル時間1日午後7時30分(日本時間2日午前1時30分)ごろで、米国はその数時間前に、攻撃が差し迫っていると警告していた。イスラエル国防軍(IDF)によると、ミサイルの多くは迎撃された。ヨルダン川西岸地区で1人が死亡したことを示唆する報道があった。
イスラエルはここ数日、レバノンに対し一連の攻撃を行い、首都ベイルート空爆で親イラン民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師を殺害。さらに、対ヒズボラ作戦の一環としてレバノン南部で「標的を絞った」地上侵攻に踏み切っており、1日のイランの攻撃はこれに対する報復措置。イランは7月に、イスラム組織ハマスの政治指導者がテヘランで殺害された後、イスラエルによる仕業とされるこの攻撃に報復する構えを示していた。
1日の攻撃の被害状況に関する第三者の評価はまだない。イスラエルと米国は被害は限定的だったとしているが、イラン国営テレビは革命防衛隊の情報を引用し、ミサイルの90%が戦略目標に命中したと伝えた。空爆の様子を撮影した動画では、一部のミサイルがイスラエルの誇る防空網を突破したことが示されている。
ネタニヤフ首相は安全保障閣議の冒頭、「イランは今夜、大きな過ちを犯した。その代償を払うことになるだろう」と発言。「イラン政府は、自国を守り敵に対して報復するわれわれの決意を理解していない」と付け加えた。
数時間後、IDFはレバノンのヒズボラの標的に対して新たな攻撃を開始したと発表した。
バイデン米大統領は1日、ハリス副大統領および安全保障担当チームと会合したとホワイトハウスが発表。イランからの攻撃に対するイスラエル防衛を支援する準備状況や、中東に滞在する米国市民の保護について検証したという。