放置竹林が土砂災害のリスクに…秘策は「メンマ」?ラーメンで挑む竹害解消
久保田さんは京都産メンマを増やすため、精力的に動く。 さらに京都の美食の世界でも、京都産メンマプロジェクトは着実に進んでいた……。
救世主となるか!? “竹筋コンクリート”
福島・郡山市でも放置竹林の問題解消に向け、意外なプロジェクトが進んでいる。 その中心となっているのが、高橋明彦さん(62)だ。高橋さんの専門は橋の設計で、建設コンサルタント会社に勤め、全国に100以上の橋を造ってきた。 そんな高橋さんが今進めているのが、「竹筋コンクリート復活プロジェクト」。地元企業や大学と連携し、鉄筋の代わりに竹を使うという取り組みだ。 高橋さんが竹筋を知ったのは、20年以上前のこと。建て替えのために橋のコンクリートを調査した際、コンクリートを掘っていくうちに、鉄筋の代わりに竹の繊維が詰まっているのを確認したという。 実は日本各地には、竹筋を使った建造物が点在している。岩手・一関市にある「長者滝橋」(竣工1939年 登録有形文化財)は85年前に造られ、今も現役だ。一関市は東日本大震災で震度6弱を記録したが、橋には問題がなかった。
戦時中、日本のあらゆる金属が不足し、鉄不足を補うためにスポットが当たったのが竹筋だった。しかし戦後、鉄の供給が回復するとともに、竹筋の技術は忘れ去られていった。 高橋さんは「SDGsということが問われてきたので、竹でもできるものがあるだろうという発想を持った」と話す。 高橋さんは福島県で生まれ育ち、大学では土木工学を専攻。橋の設計者として名が知られる存在になってからも、ふるさと・福島にこだわって仕事を続けてきた。 「福島の竹害が顕著になっている。竹を使うことを産業化できれば、土砂災害も減っていく。建設・土木関係として、何かいい方向に持っていけないかというのを試行錯誤している状態」。 そこで高橋さんは、地元・郡山にある日本大学工学部・土木工学科 子田康弘教授に協力を求めた。子田教授が見せてくれた竹筋コンクリートの資料(昭和16年5月発行)によると、当時使われていた竹の強度は鉄の約2分の1。今の建築基準では、橋などの構造物に使うことはできない。 そこで高橋さんたちは、竹筋を工場で作るコンクリート製品に使ってみることに。竹筋コンクリートを製造するためには、竹の特性を科学的に把握し、それに適した製造方法が必要になる。