放置竹林が土砂災害のリスクに…秘策は「メンマ」?ラーメンで挑む竹害解消
久保田さんは、ラーメンチェーンを運営する「キラメキノ未来」(京都市伏見区年商12億円 従業員約260人)の社長を務め、放置竹林の資源化を図る「純国産メンマプロジェクト」に加入している。 メンマの原料は麻竹だが、日本ではほんど生えないため、主に孟宗竹を使う。久保田さんは、「ラーメン屋がすごい量のメンマを使うので、ラーメン屋が立ち上がって国産メンマ作りをすることが放置竹林問題を解決するのにベストな選択」と話す。 今年の春に収穫した幼竹は、「キラメキノ未来」のセントラルキッチンに運ばれる。細かくカットし、ゆでたら2カ月間塩漬けに。使うその日に味付けする。久保田さんは、手間暇かけて作ったメンマを試験的に4店舗で提供。来年は全店舗に広げる予定だ。 日本で使われているメンマは、ほとんどが中国産などの輸入品。円安もあり、輸入メンマの価格は急騰し、3年前の1.5倍ほどになってしまった。久保田さんは流通する輸入メンマを減らし、国産メンマに替えていくことを強く望んでいる。
この日、久保田さんは京都・八幡市を訪れた。竹林の中で迎えてくれたのは、今年の春、久保田さんに幼竹を提供したグループのリーダー・佐藤均さん(82)。佐藤さんたちは地主の許可を得て、自分たちで食べるタケノコを採っているが、その代わりにボランティアで、竹林の整備をしている。 久保田さんは今年の春、こうしたグループ4つに声をかけ、幼竹を集めた。佐藤さんによると、竹林整備の費用は持ち出し。そこで久保田さんは、幼竹1本につき1000円で買い取ることにした。 「200本以上も納めさせてもらって良かった」と佐藤さん。今では、佐藤さんたちの活動の励みにもなっている。
次に久保田さんが向かったのは、上質なタケノコの産地、京都市西京区。京野菜として人気のタケノコや九条ネギを専門に作る上村和也さん、僚さん親子を訪ねた。 久保田さんは上村さんたちに「メンマプロジェクト」への参加を依頼。京都の竹で作ったメンマをブランド化し、関わる人が収益を得られるビジネスモデルを説明する。 上村さん親子にとっても、捨てていた幼竹がビジネスになることは願ってもないチャンス。上村さんが所有する竹林では、毎年10トンのタケノコを出荷しているが、育ち過ぎたものは一気に商品価値が下がってしまうのだ。 久保田さんの働きかけにより、息子の僚さんが周辺の農家にも声をかけ、幼竹を取りまとめてくれることになった。