10戸に2戸が無人、「空き家率」ランキング全国首位 ゴーストタウン化する和歌山の苦悩
5年ごとに実施する国の昨年の調査で、和歌山県と徳島県の空き家率が、前回まで4回連続1位だった山梨県を抜いて最も高くなった。和歌山県では県の空き家バンクの新規登録件数が昨年度、過去最多を記録。同県田辺市は隣人らに空き家の土地購入を働きかける全国でも珍しい制度を設けて成果を挙げたが、増え続ける空き家に新たな対策をとる。専門家は行政の各部署が連携して対応にあたるべきだと提言する。 【ランキング】都道府県の空き家率上位5位 ■高齢化、人口減少 昨年総務省が実施した住宅・土地統計調査の結果(速報値)によると、全国の空き家数は30年前の平成5年の2倍超となる約900万戸と過去最多、総住宅数に占める空き家率も13・8%と過去最高。都道府県別の空き家率は、15~30年の過去4回の調査で山梨県が1位だったが、今回は和歌山、徳島両県が21・2%と最高で、山梨県は両県に次ぐ20・5%だった。和歌山県は前回2位、前々回3位で、回を追うごとに順位が上がり、今回の同県内の空き家数は10万5千戸にのぼる。 空き家は1人暮らしの高齢者が死亡するなどして増加しているとされ、背景には少子高齢化がある。山梨県は総務省調査で空き家に含まれる別荘が多いといい、和歌山、徳島両県とはやや状況が異なる。令和2年国勢調査の65歳以上の都道府県別人口比率では、徳島県が34・2%で5位、和歌山県が33・4%で9位、山梨県は30・8%で24位だった。 人口減少も空き家増加の原因として挙げられる。総務省によると、人口増減率(昨年と一昨年の比較)は、和歌山県、徳島県ともマイナス1・27%でいずれも下位の39位。和歌山県の推計人口は100万人を割り、今年4月1日には88万4627人となった。 こうした中、和歌山県が運営する空き家バンクの新規登録件数が昨年度、過去最多の218件となり、同年度までの累計では1095件。県のポータルサイトに物件を紹介し、移住希望の県外在住者らに情報を提供している。 ■和歌山・田辺市の挑戦