斎藤元彦兵庫県知事とPR会社の関係、どこが問題?疑惑の焦点、公職選挙法の「特定寄附」とは
■ 「特定寄附」違反で摘発された事例も 公選法の「特定寄附の禁止」によって、実際に政治家が摘発されたこともあります。 2000年10月、静岡県の焼津市長(当時74)は、市発注の公共工事を受注して請負関係にあった建設業者4社から選挙の直前、総額250万円の寄附を受け取り、政治資金管理団体へ入金。選挙で使っていました。市長は後に有罪判決を受け、判決では特定寄附が「市長と業者との癒着の温床」だったと厳しく指摘されました。 2003年には長崎県知事選で、自民党長崎県連の幹部らが県の工事を受注していたゼネコンなどに対し、「知事選のために金が要る」などと寄附を要求し、公選法違反(特定寄附の禁止)に問われました。 このほか、沖縄県の宜野湾市長選(2003年)、横浜市議選(2004年)、岡山県の瀬戸内市長選(2005年)など、あちこちの自治体で同じような事件が摘発された過去があります。 国政レベルでも「特定寄附の禁止」に抵触する実例は何度も発覚しています。 例えば、2007年には、玉沢徳一郎・元農水相が代表を務めていた自民党岩手県第4選挙区支部が、衆院選があった年に国と契約関係がある複数の建設業者から計約580万円の献金を受けていたと報道されました。 沖縄県では、辺野古新基地の工事を受注している業者が2014年の衆院選直前、沖縄の関係議員6人に寄附を行ったことが発覚しています。 ただ、これらはいずれも報道止まり。カネと政治の関係が常に問題になっているとはいえ、国会議員が「特定寄附の禁止」で有罪判決を受けた事例はないようです。 今回の兵庫県知事選をめぐる問題は今後、どのような展開を見せるのでしょうか。公選法違反かどうかの最終的な判断は裁判所にゆだねるしかありませんが、刑事事件にならなくても、真相解明の過程では「特定寄附の禁止」が注目されるかもしれません。 フロントラインプレス 「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo! ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。
フロントラインプレス