ドローンをプログラミングし操作 課題解決力の養成目指す【STEAM教育のきざし】
「今の子どもたちにとって、研究者は夢のある職業なのか、疑問に思っています。『きっかけ作り』を通じて研究に興味を持つ子を増やして、業界を活性化したいんです。ゆくゆくはA-Co-Laboのサービスを使って活躍してくれるといいなと思っています。次世代へ学びを繋(つな)いでいくことで知識を循環し、新しい産学共創の形を産み出したいですね」というのが原田さんのビジョンだ。
一方、荊木さんはビジネスの視点から「教育活動単体で収益を出すのは難しいかもしれませんが、こうした活動で接点をつくることで需要や現場の課題が把握できますし、触れ合いを通じて自分たちには思いつかないようなアイデアが出ることも考えられます」とメリットを述べ、「今後は使いたいと思ってくれる先生や個人ユーザーを増やしていきたいと思っています。楽しかった思い出はポジティブに働きますから、ORSOとして子どもの成長の機会をつくるのに協力していきたいですね」と未来を見据える。
簡単に成功しないことも楽しむ
「楽しかった」 体験に参加した子どもたちは口々にそうコメントした。しかし、詳しく話を聞いていくと、ただ飛ばすのが楽しかっただけではないようだ。「けっこう成功しないんだなぁと思った」という小学1年生や「うまくいかなかった時に設定を変えるとか考えるのが面白かった」と語る4年生など、参加者それぞれが何らかの課題に直面し、解決のためにあれこれと考えたのだ。
彼らを見守った原田さんも「プログラミングをやったことはあっても、ドローンを動かすのは初めてという子が多くて、簡単には成功しないことも含めて楽しんでくれたように思います」との感想だった。また、保護者からも「プログラミングもドローンも子どもが興味を持っていたので、この場でできて良かった」、「ソフトとハードを組み合わせた体験は家だとなかなかできないので、すごくいい経験になった」といった声が上がった。
学校のテストの正解は1つだけれども、社会に出ればそうとは限らない。正解が2つ以上のこともあれば、ゼロということもある。そんな世界の片隅に触れることは子どもたちにとって貴重な経験であり、成長の過程において大きな財産となるに違いない。自分で課題を見つけ、その解決方法を考え、自由な発想でありたい未来をデザインする。今、そんなSTEAM教育が求められている。