スイスのトレインジャーニー 山間を縫うように走る名列車
九州とほぼ同じ面積に標高4,000メートル級の山々が48座そびえる雄大な自然に恵まれた国、スイス。 【画像】ベルニナ山脈の麓にある小さな村と湖の美景。 国内には鉄道が隅々にまで通じており、神秘の氷河や名峰、豊潤な牧草地など圧倒的な”地球の美”を車窓から目の当たりにできる。移動には船も使いクルーズを楽しみながら趣きある町を巡っていく。 スイスの東部からイタリアの街まで南下するベルニナ・エクスプレス。クール駅から始まり、山間ルートを進みサン・モリッツへと向かう。
玄関口チューリヒを出発、すぐに山景色へと変わる
【Day1/14:30】Zürich Hauptbahnhof(チューリヒ中央駅) なぜこんなにもスイスのトレインジャーニーは旅人を惹きつけるのか。その理由を確かめるためにチューリヒを出発し、美しい街々に立ち寄りながら氷河観光の名所であるユングフラウヨッホを目指す、8日間の鉄道旅に出かけた。 バーゼル、ベルンそして隣国のリヨンやミラノ……。チューリヒ中央駅の電光掲示板には、国内外のデスティネーションが表示され、スイス最大の国際ターミナル駅の役割を果たしているのがわかる。改札はなく(車内検札でチェック)、街の通りからそのままホームへ行けるスムーズさ。時計の国だけあり発着の時間は正確だ。「発車のアナウンスやベルが鳴らないから、乗り遅れないように」との事前情報の通り、定刻になると静かにゆっくりと車両が動き出した。 初日は、東部の街、クールを経由しサン・モリッツまで行く旅程。景色は街から山岳風景にあっという間に変わり7つの山頂が連なるクールフィルステン連峰などに目を奪われ、1時間15分でクール駅に到着。そこからは、スイス五大鉄道の一つであるイタリアの街ティラーノまでを結ぶベルニナ・エクスプレスに乗り換える。 緑が輝く田園風景、木々に覆われた山間など、光と影の情景を繰り返しながら進んでいくと「ランドヴァッサー橋を通ります」との車内アナウンスが。この石橋は岩崖の間、足場がない場所に造られ鉄道建築の傑作といわれ、空中を走っている気分に。すぐにトンネルに入り、標高1,775メートルのサン・モリッツ駅に向かい列車は登っていく。