【詳報】セミオートマのMT-09 Y-AMTが年内発売へ、Uターンは楽々、ゼロヨン10.9秒とプロ並みの発進加速も可能に!
【システム解説①】高度な制御と新開発シフトロッドで素早くギヤチェンジ
ベース車のMT変速機構に、シフト操作を行うシフトアクチェーター(電動モーター)、クラッチ操作を行うクラッチアクチュエーターなどを搭載したのがシステムの基本構成だ。ユニット重量は約2.8kgと軽量かつスリムコンパクトな設計。ベース車のスタイルやハンドリングへの影響を最小限に抑えられる。 ギヤチェンジの際は、ECU(エンジン制御コンピュータ)とMCU(アクチュエーター制御コンピュータ)が通信で連携。エンジンの点火/噴射、電子制御スロットルなどを自動でコントロールし、最適なシフト操作とクラッチ操作を行う。また、クラッチシフトアクチュエーターの制御によって全域で変速ショックを抑えられる。 さらにスプリング内蔵のシフトロッドを新開発。ギヤが抜ける前から動作を開始し、スプリングで畜力(プリロード)してから、エンジントルクを抜いてギヤを素早く変更する。
【システム解説②】変速時間はシフターと同じ0.1秒、挙動や極低速時の安定感も優秀
これらのシステムによって、マニュアル車と同等の発進加速を実現。シフトアップ時の変速時間はクイックシフターの0.1秒と同じ。その上、シフターより低回転時のショックが少なく、常時変速できるのもメリットだ。 参考までにゼロヨンタイムは10.9秒。クイックシフターを使ったプロライダー相当の発進加速が可能というから凄い。 ATモードには2種類あり、 穏やかなDモード、レスポンスがよく加減速を楽しめるD+モードから選択可能。ATモード中でもライダーがシフトレバーを操作して介入できる仕組みだ。 また過去のYCC-Sに比べ、極低速時の挙動が非常にスムーズ。自動で半クラッチ状態に制御してくれるため、Uターンもやりやすという。さらにMT-09はホイールベースが短いため、小回りできるとのことだからビギナーにも朗報だ。 燃費に関してはSTDのマニュアル仕様と同等。技術的には燃費向上を狙える可能性あるが、あくまでスポーツライディングが目的としている。
ホンダE-クラッチはやはり意識、余裕のある走りがY-AMTの強み
まず気になる価格に関しては「まだリリースされていないので、本日はお答えできません」としながら、「そこまで大幅な価格の上昇はない」とのこと。 Y-AMT車の第一弾にMT-09を選んだ理由は、Y-AMTの楽しさや価値を広めるフラッグシップとして相応しいと判断したため。 Y-AMTは高いレベルのスポーツライディングをより多くのライダーに提供することが目的。快適性に重きが置かれるトレーサー9GTのようなツアラーではなく、俊敏性が高いMT-09に先駆けて搭載することで、ヤマハが持つハンドリングなどスポーツの世界を堪能してもらうことを狙った。 2024年6月から販売されたホンダ「E-クラッチ」との比較も気になる点。ヤマハとしてもやはり「意識している」と話す。 「ただ、大きな違いがあるかなと思っています」という。ホンダのE-クラッチは、クラッチ操作を自動化しつつ、クラッチレバーを装備。ノークラッチでも、クラッチレバーでも変速できるが、いずれにせよ足元のペダルでシフトチェンジする必要がある。 一方のY-AMTは「クラッチを自動化するだけではなく、シフトも自動化してオートマを実現しています。快適に走行したり、心に余裕を持って景色を楽しみながら走るという点は、ホンダのEクラッチで実現しにくい。そこがアドバンテージと考えております」と語る。値段に関しても「E-クラッチと競争力のある価格にしたい」と話す。