厚生年金に44年加入すると年金が上乗せされるって本当?元公務員が日本の老後を考える
2024年5月24日に、同年4月分の消費者物価指数(CPI)が公表されました。総合指数は前年同月比2.5%の上昇で、物価は上がり続けています。 【写真5枚】厚生年金の平均受給額はいくら?日本の年金制度は2052年には財源ゼロ!?図表で内容を一気見 物価の変動は年金額にも影響をおよぼしますが、厚生年金はここ数年平均月額が減少し続けています。 賃金だけでなく年金も、物価上昇に追いつけていないのです。 しかし、厚生年金には長く加入すれば受けられる特例が存在します。 年金額が上乗せされるため、有効活用したいものです。 この記事では、厚生年金の長期加入者に適用される特例について解説します。 後半では、元公務員である筆者の観点から、日本の年金動向や老後への備え方について解説します。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の年金制度をわかりやすく解説
厚生年金とは、会社員や公務員が加入できる年金です。 日本の公的年金は以下のように2階建てとよばれる制度で、誰もが年金に加入する仕組みになっています。 年金には第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者と3種類の加入者が設けられています。 1階部分の国民年金は、加入者の種類にかかわらず20歳から60歳までの国民全員が加入します。 一方、厚生年金は第2号被保険者である会社員や公務員のみ加入できる制度です。 自営業の人や個人事業主は、3階部分とされる個人年金や国民年金基金を活用して、将来に備えなければなりません。 一方、厚生年金は給与から自動で引かれるため、放っておいても年金資産ができあがります。 保険料は会社と折半して支払うため、負担が少ないのも特徴です。
特別支給の老齢厚生年金とは?
年金を受け取る年齢は、昭和60年に60歳から65歳へ引き上げられました。 受給開始が5年遅れることになったため「特別支給の老齢厚生年金」が設けられました。 厚生年金の長期加入者特例は、この特別支給の老齢厚生年金の制度が関係しています。 特別支給の老齢厚生年金は、特定の年月日以前に生まれた人に対して、60歳から65歳までの間で一定期間支給されます。 具体的な条件は以下のとおりです。 ・昭和36年4月1日以前に生まれた男性 ・昭和41年4月1日以前に生まれた女性 ・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。 ・厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。 ・生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。 また、支給期間は、生年月日によって以下のとおり決められています。 男性は昭和24年4月1日まで、女性は昭和29年4月1日までに生まれた人であれば、報酬比例部分と定額部分の両方を受け取れます。 しかし、昭和24年4月2日以降に生まれた男性、昭和29年4月2日以降に生まれた女性は、報酬比例部分のみの受け取りです。 以降は生年月日によって、受け取れる報酬比例部分が少なくなっていきます。 そこで、特別支給の老齢厚生年金でも埋まらない格差を是正するために、長期加入者特例が設けられました。