ドレスをまとって雪山で、雨の中で…Rinatyさん「自撮り写真」にこだわる理由 写真家協会の正会員に
日本写真家協会の正会員に
しかし、最初から顧客がいるわけではありません。どうやって営業活動すればよいかも分からない。両親には実家を追い出され、貯金をどんどん食いつぶしていきました。 一時期、仕事を紹介してくれた人も亡くなってしまい、居酒屋やガールズバーでもアルバイトして、生活費やカメラのローン・奨学金の返済費用を捻出しました。 写真を撮る気力も時間もない。写真家をやめて、別の仕事をしようか。そう思い悩むRinatyさんに22年夏、電話がかかってきました。 電話の主は、CGを使わず、絵画的な独創性あふれる写真作品を発表している写真家HASEOさん。以前から写真展に足を運ぶなど、よく話をする間柄でした。 「周りの人への感謝を忘れず、もう一度人生をやり直すような気持ちで頑張れ」と励まされたそうです。 この年の暮れ、1枚の作品が、SNS写真コミュニティー「東京カメラ部」の10選に選ばれました。 撮影場所は北海道・硫黄山。噴気がもうもうと立ち上る無機質な山肌に、赤いドレス姿で素足で立つ。 「孤高」と名付けた作品には、「周りの意見に流されず、撮りたいものを撮り続けたい。厳しいこの世界で、唯一無二の存在になりたい」という思いを込めました。 以来、毎日のようにSNSに作品をアップしています。 現在は大阪を拠点に専門学校の講師として写真や撮影について教えたり、ウェディングや成人式の前撮り、生前撮影、広告撮影など依頼された撮影をしたり、カメラ雑誌や関連媒体に記事を書いたりして生活の糧を得つつ、時間を作っては作品の撮影に出かけています。 今年は、米ニューヨークで撮影した作品を中心にした個展を大阪で開催。職業写真家としての3年以上の実績と、正会員2人の推薦が必要な公益社団法人日本写真家協会の正会員にもなりました。 「多くの方に写真家として認めてもらえるには、やはり肩書きが必要だと思い、今回入会させていただきました」