浜岡原発再稼働へ「ステップアップ」 審査前進に手応え 中部電力社長インタビュー
中部電力の林欣吾社長が4日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査を受けている浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)のプラント審査開始を踏まえ「(審査全体のプロセスが)ステップアップした」と手応えを示した。具体的な再稼働までのスケジュールは「まだ描けていない」としつつ、将来的には再稼働によって「(電気利用者などに)経済性メリットを還元していきたい」と見通した。 浜岡原発の新規制基準審査を巡っては昨年10月、約10年にわたって議論が続いた基準津波(耐津波設計の目安)が25・2メートルで了承された。中電はこれを受け、11月の規制委との意見交換会の場で既存の海抜22メートルの防潮堤を28メートルにかさ上げする方針を表明した。林社長は原発敷地内への津波流入を防ぐ「ドライサイト」の規制要求を勘案したとし、「詳細な設計や工期、費用は今後のプラント審査で提案する」と説明した。 新規制基準審査の“後半戦”に当たり、建屋や設備などの健全性を確認するプラント審査の開始も、同じ意見交換会で要望。規制委が受け入れた。プラント審査の先行事例を見ると、浜岡原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)の場合はおおむね2年で合格にたどり着いている。ただ、林社長は「あくまで参考。2年を目標値にしているわけではない」とした。 中電は使用済み核燃料を保管する乾式貯蔵施設の計画内容も変更した。貯蔵容量を従来の2200体から4400体に倍増させる。林社長は「青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が今後稼働し、あくまで核燃料サイクルを回すための一時的な保管場所という位置付け」と強調し、「容積は大きい方が運用しやすい」と理解を求めた。 浜岡原発が5月で停止14年を迎えることに関し「この間に安全対策を講じ、訓練も重ねて安全性は非常に進歩した。決して無駄ではなかった」と振り返った。再稼働後の電気料金の引き下げについては「原発は金銭面を含めて経済性があることを大前提に動かす。その時の原油価格や会計処理によって決まるため、具体的なことは今後示していきたい」と語った。
静岡新聞社