母校取材で思い出した心の支え 高校サッカー・福井商の強豪に立ち向かう姿に胸打たれた
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 記者になって9年目、初めて母校を取材した。福井商サッカー部が、17大会ぶりに全国高校選手権に出場。初戦で大津(熊本)に0―4で敗れたが、全員県内出身のチームが強豪に立ち向かう姿に最後まで胸打たれた。ここでしか得られない経験はかけがえのないもの。試合後、「子供らは本当に成長してくれた」と監督の高木謙治先生(39)は言った。これまで予選で敗退してきた先輩の「悔し涙が財産」だとも言う。全国の舞台で流した涙もまた、次への一歩につながってほしい。 県立の福井商はスポーツ校として知られる。チアリーダー部「JETS」は広瀬すず主演で映画化、土屋太鳳主演でドラマ化された「チア☆ダン」のモデルになった。他にも多くの部が全国出場経験があり、有名なのは野球部だろう。春のセンバツで1978年準優勝など春夏通算39度出場。23年WBC出場の中村悠平(ヤクルト)もOBだ。 10年以上前の在学時。サッカー部は野球部と同じ土のグラウンドで練習していた。簡易的なフェンスで仕切ったが、硬式球がバンバン飛んできては部員に直撃。今はバスで10分ほどの距離に完成した芝グラウンドで練習していると聞き感激した。少しずつ整い始めた環境に努力が重なっての全国切符だった。 初戦前日、練習を取材した。久しぶりに「FUKUSHO」の文字を見て思い出したのはバスケ部にいた高校時代。3年のウィンターカップは初戦で逆転負けだった。今でも取材で逆転負けを見ると、自然とあの時の悔いがこみ上げてくる。一方で、厳しい練習を乗り越えた当時の経験は今も心の支えだ。必死にボールを追う後輩たちから、忘れかけていた大事なものを思い出させてもらった。(サッカー担当・小林 玲花) ◆小林 玲花(こばやし・れいか)2016年入社。五輪は21年東京、24年パリで体操、バスケットボールを担当するなど夏冬4大会を取材。
報知新聞社