「AKB48の総選挙はガチだったんですか?」秋元康が“国民的アイドル”の歴史的イベントの裏側を語った
AKB48を「国民的アイドル」に押し上げたのは「総選挙」の存在だった。では、「総選挙」はなぜ生まれたのか。また、そこに不正はなかったのか。 【画像】第4回総選挙で1位の大島優子と抱き合う前田敦子 「生みの親」秋元康に、インタビュアー・秋元康が迫る。 ◆◆◆
「AKB選抜総選挙」はなぜ生まれたか
秋元 前回、何の話だっけ? ――2回、連載を飛ばしていますから、忘れちゃったんですね? AKB48ですよ、AKB48……。 秋元 何を聞きたい? 君がインタビュアーなんだから、君が質問してよ。 ――そうですね。じゃあ、僕が読者を代表して……。 秋元 月刊「文藝春秋」の読者で、AKB48に興味ある人いるかなあ? ――います、います。いい意味でも、悪い意味でも、あれだけ世間を賑わせたアイドルグループですから。AKB48が国民的なアイドルになったのは、やっぱり、「AKB48選抜総選挙」があったからじゃないですか? 秋元 懐かしいなあ。フジテレビが生中継してくれたしね。 ――普通のアイドルグループは、女子でも男子でも、同じグループ内で誰が人気かなんて、触れられないじゃないですか? タブーというか……。 秋元 AKB48は人数が多かったから、まず、テレビ番組に出演する時の選抜メンバーを決めなきゃいけなかったの。初めは、プロデューサーである僕が、スタッフやレコード会社の人間と相談して決めていたんだけど、新曲の選抜メンバーを発表するたび、ネットが荒れるわけ。当時は、2ちゃんねるが全盛だったから、「秋元康の目は節穴か?」「なぜ、◯◯ちゃんを入れない?(or入れる?)」「どうせ、センターは前田敦子だろ?」とか……毎回、あれこれ言われるので、「じゃあ、選抜メンバーをファン投票にしよう」と……。 ――投票券をCDに付けたから、“AKB商法”と叩かれるんですよね? 秋元 元々は、投票券なんかなくて、ネットの公式ページで誰でも投票できるようにしてたの。でも、投票サイトに、AKB48に何の興味もない野次馬というか“荒らし”がやって来て、めちゃくちゃになったので、AKB48の当時のIT担当が、「やはり、AKB48のファンだけを対象にしましょう」と言ったのが始まりなんだよね。 ――それで、CDに投票券を付けた? 秋元 それ、みんな、誤解してるけど、投票券を付けたのは、CDだけじゃないの。所謂、ファンクラブとかモバイル会員とか、何らかの形でAKB48を応援してくれているファンを対象にしたんだけど、CDだけだと思われてる。 ――でも、CDを何十枚、何百枚も買って、投票券だけ抜いて、CDそのものは捨てるという事態が起きましたよね? 秋元 それは、想定外だったね。確かに、ファンクラブやモバイル会員は、一人で何口も入れないけど、CDだったら何枚でも買えるもんね。よく覚えていないけど、CD購入も枚数制限をやったような気がする。 ――でも、AKB商法と揶揄されて、どう感じました? 秋元 カップリングの収録曲にタイプの違う曲を作ったり、ミュージック・ビデオもそれぞれのカップリングで作ったり、そういう努力が無駄に思えた。 ――それでも、総選挙投票券入りのCDを続けたのは? 秋元 もう、その頃は、AKB48が大きくなり過ぎて、レコード会社、所属事務所、テレビ局、広告代理店なんかの思惑もあったから。 ――メンバーはどう思ってたんでしょう? 秋元 やはり、人気メンバーは、途中から嫌がりましたね。だから、立候補制にしたの。知名度の低いメンバーは、むしろ、総選挙が最大のチャンスと思っていたでしょう。