福岡県

　福岡県大牟田市の国立病院機構大牟田病院で、複数の職員が身体障害のある入院患者を虐待していた問題で、病院が設置した第三者委員会は1日、「病院全体として障害者の人権（尊厳）を守る意識が極めて薄弱だった」とする調査結果などをまとめた提言書を公表した。 【写真】入院患者への虐待について謝罪する川崎院長ら

　提言書によると、虐待行為が疑われた男性の看護師や介護職員計7人のうち4人について、入院患者への性的虐待などが確認された。これらの虐待を目撃した職員がいたにもかかわらず、虐待行為との認識がなかったと言及。職員の人権意識や、障害福祉サービス事業所としての倫理観が欠如していたと指摘した。

　再発防止策では、▽人権意識に関する全職員を対象にした研修の充実・強化を図る▽院長とは別に管理者を置く▽同性介助や複数人による介助ができるよう、必要な人員を配置する――ことなどを提言した。

　第三者委は、弁護士や社会福祉士ら5人で構成。虐待行為が疑われた7人のうち、退職者を除く5人について、聞き取りを行った。記者会見した第三者委の永尾広久委員長（弁護士）は「人権を無視する行為を通報しない、職場で問題にできないことが一番の問題だ」と述べた。

　提言を受け、川崎雅之院長は「再発防止に取り組み、患者や家族、地域の信頼回復に努めたい」と話した。

　この問題を巡って、福岡県警が9月に看護師や当時の介護職員の男計3人について、患者の男女7人に対する準強制わいせつや暴行などの容疑で福岡地検に書類送検している。