祝・単行本化! 『生きのびるための事務』とは何なのか。/坂口恭平さんにインタビュー。
――(笑)。確かに、請求書や領収書を出すのは作業ですね。
家を買うときに金額を見て「3,000万円で、頭金はいくらで」と支払い手続きを始めるのはバイトのおばちゃん。「すべての部材の見積もり出してください」って言うのがジム。見積もりをもらったら、そこから値段の交渉ができるかもしれないでしょ。とにかくジムっていうキャラクターは、俺のなかにある遺伝子情報の経験者のカンみたいなもの。
――何かやろうと思っても、無駄なことをしたり回り道をしたり、お金のことで悩んだりしてしまう。ジムは物ごとの道筋を整理して、「これをやればいいですよ」とシンプルに示唆してくれる。こういう行為の総称ってなかった気がするし、“事務”と名付けたのが面白いなと思いました。
でも事務だよね。事務以外にないもん。銀行に行って書類書くのは事務じゃないんだよ。事務は、やりたいことを実現するためにある。そういうことを伝えたかった。
インフォメーション
生きのびるための事務 芸術家でも誰でも、事務作業を疎かにしては何も成し遂げられない。夢を現実にする唯一の具体的方法、それが”事務”。作家、建築家、画家、音楽家、「いのっちの電話」相談員として活動する坂口恭平が、大学生の頃に出会った優秀な事務員・ジムとの対話から学んだ様々な物事を実践したnoteのテキストを漫画家・道草晴子がコミカライズ。5月16日発売。1,760円(小社刊)
プロフィール
坂口恭平 さかぐち・きょうへい|1978年熊本県生まれ。2001年早稲田大学理工学部建築学科卒業。作家、建築家、画家、音楽家、「いのっちの電話」相談員など、その活動は多岐にわたる。2004年に写真集『0円ハウス』を刊行。著書に『独立国家のつくりかた』『徘徊タクシー』『躁鬱大学』、画集に『Pastel』『Water』があり、近刊に『継続するコツ』『中学生のためのテスト段取り講座』がある。 photo: Hiroshi Nakamura, text: Neo Iida
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