「もう調理道具を手放したくない!」料理家が挑むキッチン革命
キッチンツールには2種類あります。いつでもすぐに使えるように定位置でスタンバっている一軍と、戸棚なりどこなりから、使う時だけ「よっこらせ」と出してこなければいけない二軍です。冷蔵庫や炊飯器やオーブンは当然一軍です。彼らはそもそも、一軍にしか身の置きようがありません。今回ホットクックもその仲間入りを果たしました。言うなれば陣取り合戦の完全勝者。 我が家の場合、二軍の代表格がホットプレートです。それは普段、「冷蔵庫の上」に置かれています。埃が付きやすい場所ということもあり、それは常に薄いビニール袋に包まれているのですが、そのビニール袋は最初に我が家に届いた梱包の物がそのまま使われています。 その時から約10年を経て、そのビニール袋にはうっすら油と埃が降り積もり、ロンドンの霧のように白く霞んでいます。霞んでいるだけならいいのですが、それは少しペタペタとした嫌な手触りに変化しています。それを月2回ほど使う度に、背伸びして「よっこらせ」と出してくるのは、微妙にストレスです。 そんな二軍のひとつに、フードプロセッサーがありました。玉ねぎのみじん切りをたくさん拵えないといけないような場面では、仕方なく「よっこらせ」と戸棚最上段から背伸びして出してくるツールです。しかしそのみじん切りは決してクオリティの高いものにはならないこともあり、むしろ「よっこらせ」と出してきて「よっこらせ」としまうのが面倒で、ほとんど起用することのないツールでした。 しかし最近たまたま、フードプロセッサーを買い替える機会を得ました。「マジックブレット」の最新モデルです。これがコンパクトなのに頗る性能が良かったのです。これはフル活用せねば損である、と確信しました。日常的に気軽に使うには、定位置を与えて一軍入りさせるに越したことはありません。 その時、キッチンワゴンのホットクックの隣には、まだまだ空きスペースがありました。僕はそこに新しいフードプロセッサーを置きました。これでいつでも気兼ねなく、ちょっとした刻みものをそれでこなすことができるはずです。スペースにはまだ十分な空きがあったので、そこには「卓上IHコンロ」を置きました。これもホットプレート同様、鍋物などで頻繁に使用するツール。これもまた二軍から一軍への昇格です。 そのキッチンワゴンには、実は更に中段と下段の棚もありました。中段には(長らく懸案だった)ホットプレートを置きました。霧のロンドンのごときビニール袋は捨てました。下段には湯沸かしポットを置きました。これもまた、しょっちゅう使う割にいつも微妙に置き場に困っていたツールです。マジックブレットの、ミキサーカップなどの付属ツールもそこに並べました。