福祉とアートを一変させたブランド「へラルボニー」、世界を巻き込みながら課題解決を目指す
福祉を取り巻く課題は世界共通
これからヘラルボニーが目指す先にあるものは何か。それは日本で変えてきた価値観を世界に広げることだ。 その契機のひとつは、冒頭で触れたパリにおけるLVMH Innovation Award 2024の受賞。もうひとつはすでに動き出している。今年1月にへラルボニーが行った『HERALBONY Art Prize 2024』の創設である。 同賞には28ヶ国924名から応募があり、ここで発掘されたアーティストをへラルボニーが後押しする。認められるべき才能が、助力を得ることで世界に羽ばたいていく。 「たとえばフランスは、アールブリュットの中心で日本より作家も原画の取り扱いもかなり多いです。しかし弊社が行っているような、いろいろな企業と対等に取引を行うという活動については驚かれます。 つまり日本での活動を海外に転用できる部分はすごくあるということ。課題は世界共通です。まずは障害のある当事者の皆さんに、へラルボニーを知ってもらうことに注力してアクションしてきたい」(へラルボニーのブランドディレクター・井上さん) 「将来的に、障害のある作家にとっての国際的なプラットフォームになりたい。まずはこのフランスで、フランスの現地の作家やフランスの現地企業と、しっかりとコラボレーションをして作家の素晴らしさを伝えていきたい」(ヘラルボニーの海外事業責任者・小林さん) 日本の福祉の現場で開いた風穴が、世界を巻き込みながらさらに広がろうとしている。