「競輪は人生そのもの」神山雄一郎が引退会見「戦ってきたライバルは自分の財産」
神山雄一郎選手が24日、都内で引退会見を開いた。長きにわたり輪界を引っ張り、誰よりもファンから愛された男が、36年間の現役生活に別れを告げた。 スーツ姿で登場した神山は、「私、神山雄一郎は昨日まで走ってました取手競輪を最後に競輪選手を引退させていただく決意をしました。同僚の競輪選手、中野浩一さんをはじめとした先輩方、地元栃木の選手、JKAの皆様、ファンの皆様、宿舎で働いている皆様、宿舎で食事を作ってくれた皆様、長い間お世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい競輪選手生活だったと思っています。本当にありがとうございました」とあいさつした。 引退を決断したのは6月9日函館競輪6Rの失格だったと振り返る。 「ひとつの引き金になったのは函館の失格。できることなら一生やり続けたいけど、結局は一生はやれない仕事。“いつか”の分解を考えたのがその時でした」と、A級降格が頭によぎった瞬間から引退を決めたという。 そして、引退を決めた今の心境について「ついにこの日が来ちゃったか。自分の中では競輪をやれるなら一生やり続けて、戦い続けて、それも上位で戦い続けるという気持ちでいましたから」 過去のライバルとの戦いについて話を振られると、「吉岡(稔真)くんを自分の中で勝手にライバル視していて、一生懸命練習して、吉岡くんに認められる選手になりたくて頑張ってきました。ライバルである僕を応援してくれたり、言葉をかけてくれたり。一緒に頑張って上を目指して戦ってきて、競輪っていいなと思いました。(一緒に戦ってきた)選手たちは自分の財産だと思っています」と、言葉を詰まらせ、涙を浮かべた。 競輪の魅力、そして36年間競輪を続けてきた原動力については「競輪を作ってくれた倉茂貞助(武)さんに本当に感謝しています。こんな素晴らしい競技は世界中探してもない。競輪の魅力は勝負でありつつ、勝った負けたが車券の対象になっているところ。目先の一勝は絶対に欲しいですが、負けから何を感じ取ったかが大事。勝ちの中にも負けの中にも価値を見出せるのが競輪の奥深さ。僕はそこに取り憑かれました。原動力はファンの声援と周りの方の支え。自分勝手にやめられないなって」。神山にとって競輪は「人生そのもの」だという。 16度の挑戦で届きそうで届かなかったKEIRINグランプリについては「獲りたかったは獲りたかったんですけどしょうがないです。グランプリは毎年12月30日に行われるので、選手になってからいい正月を迎えたことがなかった(笑)。引退したことですし、今年は同県の眞杉くんはもちろん、出場全選手を応援してみたいです」と笑顔で締めくくった。 今後については未定で「まずは家族との時間を過ごしながらゆっくりします」と話した。