AIの発展で2024年の金融犯罪損失は4,856億ドルに? 新・金融犯罪捜査自動化AIツール「Hummingbird」に寄せられる期待
サンフランシスコ発スタートアップによる金融犯罪捜査自動化AIツール
その一方で金融犯罪を抑制するためのAIソリューション開発も加速しており、関連スタートアップに注目が集まっている。 そのひとつが、サンフランシスコに拠点を置く2016年起業のHummingbird社。同社は金融機関や決済プロバイダーの内部犯罪捜査チームやコンプライアンスチームのためのツール開発を専門とするスタートアップで、このほど新しい金融犯罪捜査自動化ツール「Hummingbird Automations」を発表した。従来は手作業で繰り返し行う必要のあった定型作業をAIが行うことで、金融犯罪の取り締まりを効率化・正確化することを目的としている。
「金と権力に夢中?」の同社チーム
同社の公式サイトのトップには、「私たちは、金と権力に夢中です」というギョッとするような文言が特大文字で表示される。しかしそのすぐ下に小さな文字で「(それらの不正利用を止めることに)」と但し書きが。 自社の使命を「より優れた通信とテクノロジーを利用して金融犯罪と戦うこと」と同定し、その理由を「犯罪を解決するには『金を追う』のが一番」と説明する同社は、その意図を以下のように語っている。 「世界の犯罪のほとんどは金銭に関係しています。麻薬カルテル、組織犯罪、武器販売、政治的腐敗、人身売買。これらはすべて、金融システムを通じた資金の移動に依存しています。こうした犯罪者と戦うには、金を追って利益を絞める以外に良い方法はありません」 「ハミングバードの使命は単純明快で、金融犯罪と戦うことです。私たちは、金融機関が顧客をより深く理解し、法執行機関と協力できるよう支援することでこれを実現します。私たちは、緻密な設計、ツールの知性、自動化の利便性により、金目当ての犯罪を撲滅できると信じています」 同社の共同創業者はデータサイエンティスト、エンジニア、法規制関係の専門家からなるチームで、「当社に欠けていると思われる役割を果たしてくれる人」を常時鋭意募集中。同時にチームのインクルーシビティや福利厚生にも力を入れており、なんというかITフィールドの中でも相当ミッション重視の色味が濃い企業という印象を受ける。