明石商の練習試合に編成トップらスカウト27人集結の異常人気…中森俊介が5回11三振の快投で今秋ドラフト評価急上昇
三振のクオリティーも後半は高まった。例えば3回に奪った2つの空振り三振は抜けたスライダーと高めのボール球と自身が意図したものではなかったが、4回以降のそれはフォーク、スライダー、チェンジアップ、ツーシームを操り、直球を決め球に使ったもの。その結果、5回2死まで圧巻の5連続Kを刻んだ。この日の最速は148キロ。中森も手応えをつかんでいた。 「3、4回ぐらいから球の回転が良くなった。三振は狙ってはいませんでしたが、結果的に取れて良かった。真っ直ぐに強い打線なので、変化球でカウントを整えられたのが大きく、追い込んでからのストレートが効果的だった。僕自身は後半乗っていくタイプ。この日は暑くなかったので完投できたと思う。あとは初回の入り方。立ち上がりをしっかり抑えられるようにしたい」 昨年は春夏ともに甲子園4強入りの原動力になった。集大成が期待された最終学年に新型コロナ禍に襲われた。向上心が旺盛なクレバー右腕は投球メカニックの理想として上半身と下半身のかみ合わせを追求して来たが、学校に登校できなくなった余波で投げ込み不足となり、課題を抱えたまま夏を迎えていた。 6月末の練習試合ではリリーフで2試合に登板し、5回を投げたものの、「真っすぐにキレがなくて、思うように空振りが取れない」と不満顔だったが、その後ビデオで分析し、立て直しに成功しつつある。 「右足に体重を乗せ、左足をねじるときに上半身も同時にねじると結果、右肩が出てこない。左足を上げたときに下半身だけねじることだけを意識。そこを修正しました」 狭間善徳監督も、中森の投球フォームの上下バランスには納得はしていないようだったが、一定の評価は下した。 「智弁和歌山は160キロのマシンのボールしか打ってないからねぇ。三振はダボハゼのようにどんどん振ってくれたから。中森は(体の上下の)かみ合わせが悪く、上半身に力が入りすぎていたが、何球かに1球はいいフォームで投げていた。それでも試合を作ったのは経験値があるから。2カ月、投げていなかったから8月の甲子園(交流戦)のときに、いいイメージになってくれればいい」 明石商には兵庫県の独自大会に続き、センバツ出場校だけが1試合、甲子園で戦うことができる交流戦に出場できる。中森の夏はここから始まるのだ。