明石商の練習試合に編成トップらスカウト27人集結の異常人気…中森俊介が5回11三振の快投で今秋ドラフト評価急上昇
対戦した智弁和歌山の中谷仁監督は中森を絶賛した。 「素晴らしい投球でした。ああいう投手から点取る練習をやってきたが1安打。リベンジしたかったのですが、さすがとしか言いようがない。いいピッチャーです」 中谷監督は阪神、楽天、巨人でプレーした元プロ。その目は確かだ。 ネット裏のスカウト陣の評価も急上昇していた。 ソフトバンクの永井智浩編成育成本部長/スカウト・育成部長は、こう言う。 「2週間前に見たときはコロナ明けで立ち投げ程度。きょうは指先にボールがしっかり掛かっていたし、完成度の高い投手です」 横浜DeNAの左腕王国を作った吉田孝司チーム統括本部顧問も「高校生にしては出来上がっている。コントロールいいし、体もどっしり。コロナで心配していたが、きょうのピッチングを見て安心しました」と高評価。 ヤクルトの前監督である小川淳司GMは、「生で見るのは初めて。トータルでレベルが高い投手だ。変化球の精度もあるし、ピッチングがうまい」と驚いた様子だった。 各球団の編成トップが“ダブルチェック”のため明石まで足を運ぶのだから、中森が今秋のドラフト1位候補であることは間違いないだろう。 実は、この試合ではもうひとつ”見せ場”があった。それは、昨春のセンバツ準々決勝の因縁対決の再現だった。ドラフト候補である来田は、智弁和歌山の小林から史上初の先頭弾&サヨナラ弾を放ったが、その再戦が8回に実現したのだ。小林はオール直球勝負。 最速148キロを出し、来田は、フルカウントから3球ファウルで粘ったが、最後は遊飛に倒れた。 「来た球に全部反応しようと思った。必死でした。最後はミスショット」 “リベンジ“を許した来田も悔しさを隠さなかった。男気を感じさせるガチンコ勝負に西武・渡辺久信GMも、「小林君は全部が内角直球。いやあ。青春だね。いいね」と拍手を送っていた。 夏の甲子園は中止となったが、兵庫県の独自大会は7月18日から8月7日までの12日間、ベスト8で終了のルールで行われ、その組み合わせは7月6日に発表される。 (文責・山本智行/スポーツライター)