中園ミホ「空亡期に舞い込む朝ドラ。現在『あんぱん』執筆中。やなせたかしさんとは、小学生時代から文通していた不思議なご縁」
◆「空亡」を恐れることはない 厳しい冬の運気と言われ、12年のうち運気が低迷する「逢魔」「空亡」の空亡期を恐れている人もいますが、決して恐れることはありません。神様から成長するための課題を与えられる修行の時期ですから、たとえ困難なことが降りかかっても、逃げずに成し遂げれば、ぐっと成長でき、次の10年間の運気が上昇します。 ぐーたらでコツコツ努力することが苦手な私の空亡期は、いつも大変な仕事が与えられるように思います。前回の空亡期は、朝ドラ「花子とアン」を頑張って書きました。視聴率も良く、話題になったのは、神様からのご褒美だと思います。 実は今、私は空亡期です。今度はどんな課題を与えられるのだろうと思っていたところ、再び朝ドラのお話をいただきました。来たな~と(笑)。来春から放送予定の「あんぱん」です。朝ドラは本当に大変で命を削る覚悟が必要な大修行。もう執筆に入っていますが、休んだり遊んだりする時間はまったくありません。 怠け者で、仲間とお酒を飲むのが大好きな私には、辛い日々です。周囲の期待という大きなプレッシャーに押しつぶされそうになる時もあります。でも真摯に仕事と向き合い、この冬の時期を超えた暁には春が来るとわかっているので頑張るしかありません。
◆縁のある人とは幾度でもめぐり会う 朝ドラ「あんぱん」は「アンパンマン」で知られるやなせたかしさんと奥様の物語。戦前から戦後の激動の時代を懸命に生きた夫婦の人生を描きますが、やなせさんとは不思議なご縁で結ばれているような気がします。 やなせさんが、「アンパンマン」のテレビアニメ化で世間から大きな注目を浴びるのは、69歳の時なのですが、私はそれ以前からやなせさんを知っていて……。私が小学生の頃、文通をしていたのです。 私は10歳で大好きだった父を亡くし、ふさぎがちだった時、やなせさんが書かれた「人間なんてさみしいね」という詩に出会い、凄く救われました。父だけが一人で死んだわけではないんだと思えたからです。気持ちを手紙に書いてやなせさんに送ったところ、驚くような速さでお返事をくださって。そこから文通が始まったのですが、最後にお手紙を書いたのは15歳の時。いつもすぐに返事をくださるので、私の方から文通をやめてしまったという(笑)。なんて失礼なことをしてしまったのだろうと思っていたのですが、今回の件で、まだご縁は続いていたのだなぁと不思議な気持ちがしています。 実は、朝ドラのテーマを決める時も不思議な偶然があって……。どんな物語にするかという会議の時に、私は数人の候補を考えていたのですが、「やなせたかしさんはどうでしょう?」と提案しかけた時、「たかし」の「し」まで言うか言わないかのところで、プロデューサーが鞄から1冊の本を取り出したのですが、やなせさんの本だったのです。やなせさんが手掛けた「アンパンマンのマーチ」の歌詞が、子ども向けにしてはあまりに哲学的で、興味を抱いたからということでしたが、こんな偶然ってある?って。 大袈裟なことを言うようですが、ちょっとゾクゾクっとするような展開でした。何かに導かれているというか、目には見えないご縁の力が動いたのを感じます。