男だって生きづらい 「男は強くあれ」の呪縛とは
■弱さを正直に語ることが他者を勇気づけるとは?
斉藤:実はアルコール依存症の自助グループに、私が治療する側として参加する中で、自分の話をしたんですけれども、私は依存症当事者ではないので「私はちょっと違うんだよ」といった空気を出して、成功体験のようなことを話したんですね。すると参加者の方が「どうも斎藤さん、顔がつらそうだよ」と。「僕たちは斎藤さんのかっこいい話とか、成功体験を聞きたいわけじゃなくて、あなた自身の弱い話を聞きたいんだ」と言われたんです。 自助グループの神髄というのは、正直に話すことなんです。そうやって弱い面を見せて、初めてお互いが仲間になる。仲間のつながりというのがとても大事で、このつながりの中で、今日一日、お酒をやめられる、また次の日も、そのつながりがあって、お酒がやめられる。本当にこの積み重ねで、断酒を続けていけるので、この自助グループの正直に弱みを見せるようなやり方を、今の「男らしさ」で苦しんでいる人たちにも使える可能性が高いんじゃないかなと思います。 記者:偉そうに見せるのではなくて、正直な関係を築くことが、みんなの力になる、安心安全の場、お互いがあなたのままでいていいというような関係につながっていくということでしょうか。 斎藤:そうですね。