オバマ氏の広島訪問への障害は? 米国務長官が初の被爆地訪問
広島市で開かれていた先進7か国(G7)外相会合が11日、2日間の日程を終え閉幕しました。核兵器のない世界の実現を呼びかける「広島宣言」を発表し、ケリー米国務長官らG7外相は平和記念公園を訪問し、原爆慰霊碑に献花しました。今回のケリー氏の被爆地訪問はオバマ大統領の訪問につながるのか。米国内で根強くあるさまざまな慎重論とともに、アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に解説してもらいました。 【写真】70年目の広島・長崎 「核のない世界」へ日本ができること
ケリー長官「大統領に進言する」
G7外相会合に出席したジョン・ケリー米国務長官が、各国外相とともに、広島平和記念公園を訪問。米国務長官による初の被爆地訪問となった。 米国務省の報道官は「第二次世界大戦で亡くなった全ての人たちを追悼するもので、バラク・オバマ米大統領が提唱する『核兵器のない世界』を強調するもの」とその意義を説明した。 ケリー国務長官はオバマ大統領に広島訪問を進言すると明言。米国内外から強い批判がなければ、5月のG7伊勢志摩サミット後に広島に数時間滞在し、核軍縮・不拡散を訴える演説を行う可能性もあると報じられている。 歴代米大統領ではリチャード・ニクソン氏が大統領就任前に、ジミー・カーター氏が大統領退任後に広島を訪れているが、現職米大統領の被爆地訪問となれば史上初となる。 09年11月に初来日した際、オバマ大統領は「任期中に被爆地を訪問できれば光栄である」と発言。翌年にはジョン・ルース駐日米国大使が駐日大使として初めて広島の平和記念式典に参列している。 12年以降はルース大使と後任のキャロライン・ケネディ大使が広島と長崎の両方の式典に参列。昨年は米国務省のローズ・ゴットメラー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)も同席した。そして、今回のケリー国務長官の広島訪問。いずれもホワイトハウスの許可なくてはあり得ない話であり、むしろ段階を踏んで慎重に布石を打ってきたと見るべきだろう。