『ミッドサマー』超え! 超人気YouTuberから映画監督に。注目ホラー映画を手がけた兄弟監督が語る、SNSのノウハウを取り入れたワケ
クオリティの高いYouTubeが「テレビのようだ」「短編映画を見ているみたい」と評されることがある。映画『クラウン』のように、YouTubeにアップロードされた“おふざけ”のショートムービーが長編映画になることもある。YouTubeというプラットフォームが誕生して以降、映画との垣根は徐々になくなりつつあるが、ついにYouTuberが長編映画を撮る時代がやってきた。 【写真】怖すぎ… ふたりが監督を務めた新感覚ホラー映画『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』のシーン 2023年12月22日(金)公開の映画『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』は、人気YouTubeチャンネル「RckaRacka」を運営するオーストラリア出身の双子、ダニー・フィリッポウとマイケル・フィリッポウが、動画をつくり続けてきた経験と知識を総動員してつくった待望のホラー映画だ。見れば、他のホラー映画とは少し異なる雰囲気を纏っているのがわかる。「タイパ」や「コスパ」、退屈への恐怖といった時代の空気感がダイレクトに現れているからだろう。 そんな現代のスピード感にマッチした新感覚ホラー映画をつくったダニ―&マイケルに話を聞いた。
YouTubeを始めたのは映像業界に入るため
劇場作品の監督として華々しいデビューを飾ったふたりにとって、YouTubeは夢を叶えるための布石だったという。 「自分たちの夢は映画づくりで、子どもの頃から映画をつくってきました。YouTubeは映画監督になるためのステップのひとつです。最初はFacebookに動画を上げていましたが、それがバズって、ジミー・キンメルやコナン・オブライエンといったアメリカの大人気ホストのトークショーで取り上げられるようになりました。しかしその時は、誰が動画をつくっているのかを伝えることができなかったので、YouTubeチャンネル『RackaRacka』を立ち上げることで動画の制作者が僕らであることを明確にさせたのです。 その後、ありがたいことにチャンネルは順調に成長して、最初の1年で登録者数100万人を突破。趣味が仕事へと変わっていきました。僕らはオーストラリア出身ですが、オーストラリアで映画業界に入るのは簡単ではありません。僕らの夢を後押ししてくれた父でしたが、一方では、厳しい世界なので『別の仕事を探しなさい』と勧めていたほど。YouTubeで成功して、映像制作の道に進めたことは幸運でした」