アンドレッティF1参戦拒否問題に、板挟みのFIA会長が“折衷案”を提示?「既存チームを買収してはどうか」
キャデラック等のブランドを展開するゼネラルモーターズ(GM)と組んでのF1参戦を画策するも、現状ではその計画がF1によって却下されている状態のアンドレッティ。FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は彼らに対するスタンスをやや変え、既存チームを買収することを検討すべきだと話した。 【ギャラリー】F1史上最も醜い、2014年のF1マシン全車 アンドレッティのF1参戦計画はFIAから承認を受けたものの、F1によって2025年からの参戦が拒否された。しかしアンドレッティは突き付けられた「NO」を受け入れておらず、イギリスのシルバーストンに拠点を開設し、元F1テクニカルディレクターのパット・シモンズを迎え入れるなど、2026年の参戦に向けて変わらず積極的に動いている。 またアンドレッティは、アメリカの上院議員や下院議員を巻き込み、独占禁止法を持ち出して法的根拠に基づいてF1の拒否に異議を唱えている。一方で、GMのワークスパワーユニット(PU)供給の準備が整う2028年からの参戦に関しては、F1側も道を閉ざしていない。 ベン・スレイエム会長は当初、F1のグリッドを10チームから拡大することを提唱しており、契約では最大チーム数が12となっているとして、将来的にはアメリカや中国のメーカーを加えることでその12の枠を埋めたいとも話していた。ただそういった彼の構想は、アンドレッティの参入がさらなる競争の激化や経済的な価値をもたらさないとするFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)、リバティ・メディアといったF1経営陣の考え方とは相反していた。 モナコでロイター通信のインタビューに応じたベン・スレイエム会長は、現在ではスタンスを変え、アンドレッティは11番目のF1チームとして参入することに固執するのではなく、既存のチームを買収するべきだと語った。 「私は(アンドレッティに)11番目のチームとして来るのではなく、別のチームを買収するようアドバイスしたい」 「リフレッシュが必要なチームもある。数字として、11チームと10チームというのはどちらが良いだろうか?」 「私としては今でも、チームが増えるべきだと思っている。しかしながらどんなチームでも良い訳ではなく、適切なチーム(が必要)。数ではなく質なんだ」 またベン・スレイエム会長は、アンドレッティとそのパートナーであるGMを基本的には歓迎すると述べ、この提携が現在のF1チームよりも多くのものをF1にもたらすだろうと示唆した。 「名前は伏せておくが、苦戦しているチームはある。パフォーマンス面や、マネジメント面でもね」 「GMのようにPUを持つ企業がF1に参入するチャンスを失わないためにも、適切なチームを持つことが重要なのだ」 「その影響を想像してみてほしい。今アメリカでは3レースが行なわれている。我々にはそこに巨大なファンベースがあるが、ちゃんとした(アメリカの)チームがないんだ。フォードが(レッドブルと組む形で)やってくるのはとてもうれしいが、GMができること、そしてアメリカ人ドライバーがやってくることを想像してみてほしい」 こういったベン・スレイエム会長のスタンスの変化は、彼がこれまでFOMやリバティといったF1の商業権保有者と難しい関係にあった中で、足並みを揃える努力をしていると受け取ることもできる。 特に、2026年に向けてF1の商業的な運営方法を規定する新しいコンコルド協定をまとめるための話し合いが行なわれている中で、このことは重要な意味を持つ。 「平和なのはいつだって良いことだ。不必要な問題を常に抱えているわけにはいかない」とベン・スレイエム会長は言う。 「我々は共に前進する必要があることを理解している。そのための唯一の方法は、我々の間で様々なことをより明確にすることだ。ビジネスに関して我々はFOMとパートナーであり、小さなことは忘れて、どうすればこれらの問題に対処できるのか、解決策を見つけなければならない」
Filip Cleeren