「泣かせやがる…」“残留懸けたPK”で感動の嵐「粋だな」「ドラマや」磐田エースが得点王争いを犠牲に→引退発表のレジェンドに託した瞬間
【明治安田J1リーグ】ジュビロ磐田 2-1 FC東京(11月30日/ヤマハスタジアム) 【映像】感動…エースからレジェンドにPKが託された瞬間 粋な振る舞いに、ファンは感動を覚えていた。ジュビロ磐田のFWジャーメイン良が、勝敗を左右するPKを蹴る直前、手に持っていたボールをMF山田大記へと託した。今季限りでの現役引退を表明しているレジェンドに“最高の見せ場”を譲ったシーンが大きな反響を呼んでいる。 注目のシーンは、J1リーグ第37節で磐田がホームにFC東京を迎えた一戦の最終盤。負ければその時点でJ2降格が決まってしまう試合で磐田は、後半に先制を許しながらも80分にマテウス・ペイショットのゴールで追いつき、さらに89分にPKを獲得。試合終了間際に千載一遇のビッグチャンスが訪れていた。 遡ること5分前の84分、磐田はCKの流れからMF藤川虎太朗がゴール正面からシュートを放った。ブロックに入ったFC東京のDF中村帆高の手に当たると、これがハンドの判定となり一度はFKになったものの、VARが入りオンフィールドレビューの結果、ハンドがボックス内であったとして、磐田にPKが与えられたのだ。 PKのジャッジが下ったタイミングでは、ボールを左脇に抱えていたのはジャーメインだった。今季、この試合を前に19ゴールで得点ランキング3位のエースにとっては、1位のアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス/22点)、2位のレオ・セアラ(セレッソ大阪/21点)に迫るとともに、自身も20ゴールの大台に乗せる絶好のチャンスだった。 しかし、PKが始まる直前、ジャーメインはクルッと後ろを向くと、歩いてくる山田にポンとボールを預けたのだ。とくに言葉を交わしている様子はない。直前まで、山田もゴール正面右でPKを蹴る素振りなどを見せていなかった。いずれにせよ、キッカーとなった山田は右足で蹴る助走ながら左足でシュートを放つトリッキーなPKを見事に決め、これが決勝ゴールとなった。 J1残留のためには勝利が至上命題の試合で、勝ち越しを決められるかどうかの場面。なおかつ、今季限りでの現役引退を表明した男のホームラストマッチ。時間もアディショナルタイム目前。これ以上ない“見せ場”であると同時にプレッシャーのかかるシチュエーションで、エースからレジェンドにボールが渡ったシーンはファンの心を打った。 SNSは感動の言葉で溢れた。「泣かせやがる」「泣くわ…」「PKを大記に渡してくれてありがとう」「粋なことするじゃねえかよ」「ボールを託したシーンは震えた」「PKを山田選手に譲るなんて。それをちゃんと決める山田選手」「ドラマチックですねえ」といったコメントであふれ、試合のハイライトとなった場面に感動を覚えている様子だった。 なお、試合後に山田は、このワンシーンの舞台裏を告白。「前日の練習で、ジャメ(ジャーメインの愛称)に蹴ったほうが良いんじゃないかと言われて。プレッシャーがかからない状況なら蹴るとか冗談で言っていたんですが、今日はフィーリングも良かったので、FKでも蹴ろうと思っていたし、PKになった瞬間も自分で蹴りたいと思った。その中で、ジャメも『大記くん、お願いします』と言ってくれたので、僕が蹴らせてもらいました」と語った。 さらに山田は、「けっこう動悸は激しかったです。高校でも大学でも、けっこう大事なところでPKを外すサッカー人生だったので。そのときにゴール裏のサポーターを見ました。本当に他力なんですけど、みんなの思いが決めさせてくれるだろうなと。ゴール裏のサポーターがゴールを決めさせてくれると思って、自分を信じて、落ち着いて蹴ることができました」と、プロキャリア最後になるかもしれないPKシーンを振り返った。 (ABEMA de DAZN/明治安田J1リーグ)
ABEMA TIMES編集部