不便です! 壊れます! お金もかかります! それでも「旧いクルマ」の虜になる理由
●電子制御レス
いまやクルマのあらゆる制御は電子式、つまりコンピュータが行っています。モデルによってはメーター類の表示が液晶パネルになっていることも。Apple Watchに代表されるスマートウォッチのように、スピードメーターやタコメーターなどが擬似的に表示されるようになりました。そのほか、トラクションコントロールシステムやABS、自動追尾システムなど、クルマにコンピュータが搭載されていなければ成立しない機能ばかり。今後普及していくであろう自動運転はその最たる例かもしれません。 そういったコンピュータによるあらゆる制御を拒み、ドライバー自らの意思と責任をもってクルマを操る。それこそが一部のクルマ好きにとって代えがたい魅力といえるのです。 しかし、現代のクルマがあまりにも高性能になってしまったこと、コンピュータなしにはいまや走ることすらできないほど、高度化・複雑化しています。
●チョークレバー
キャブレターやメカニカルインジェクションポンプ(通称メカポン)仕様のクルマは、冷えた状態のエンジンを始動した際に回転数を高く設定しないとストールしてしまうことがあります。そこでチョークレバーを引くことで混合気の度合いを調整し、エンジンの回転を安定させます。やがてエンジンが暖まってくるにつれてチョークレバーを手動で元の状態に戻していきます。 そのときどきによってベストな状態が異なる、まさに感覚に頼り切った調整が求められる世界。愛車のオーナーとその主治医だけに許された特権であり、大事な儀式といえます。
●エアコン(クーラー)レス
いまや標準装備があたりまえとなったエアコン。しかしかつてはクーラーがオプション設定されるほどの贅沢な装備でした。いまの基準ではエアコン(クーラー)レスですが、もともとはあと付けが大前提だったわけです。 たとえ古いクルマであっても、エアコン(クーラー)が利いたほうが、車内が快適であることは確か。しかし、車重だけでなく、故障要因も確実に増えます。また、乗車している人間はエアコンが利いて快適であるいっぽうで、クルマには負荷がかかっています。古いクルマに対して、猛暑日の渋滞のなかでエアコン全開なんて酷な話なのです。 クルマだって暑い、というか辛い。それならば、運転するドライバーもその暑さに耐える。その一体感がむしろ心地良いと感じたら、もはやヘンタイの領域かも!?