角田裕毅、ローソン、選択肢は他にも……レッドブルがペレス後任に起用すべきドライバーとは? F1ライター陣が斬る
ローソン投入の機は熟した
レッドブルはようやく、毎レースのように優勝争いに加わり本物のバトルを繰り広げているフェルスタッペンのチームメイトとして、ペレスをキープするリスクに気がついたようだ。 レッドブルは7月11日(木)にシルバーストンでのフィルミングデーを実施するとされており、そこでローソンをテストすることで、セカンドシート問題と、フェルスタッペンを電撃昇格させて以降続いてきたジュニアドライバーの渋滞を解消することができるはずだ。 レッドブルがすべきことは、ローソンをRBではなく直接シニアチームに昇格させることだ。RB20のようなマシンのパフォーマンスと期待を考えれば、大きな挑戦になるだろう。 しかしローソンにとっても同様に大きなチャンスとなる。昨年、負傷したリカルドの代役としてF1デビューを果たして入賞を果たしたローソンは、プレッシャーと期待の両方に対応できると既に示している。RBのステップをスキップすることで、レッドブルの育成ドライバーのラインアップ問題も解決する。 レッドブルは角田について、プレッシャーへの対応力、特にフェルスタッペンとの対峙で生まれるプレッシャーに耐えられるかどうかについては疑問符を抱いており、RBに残留させることを決めた。昇格の望みはなさそうだ。そしてリカルドの将来はもっと不確かだ。 結局のところ、レッドブルはRBでジュニアドライバーを試すことを望んでいる。しかし、ローソンは既に代役参戦中にそのテストに合格できることを証明している。 ローソンをペレスの後釜として起用することで、RBは時間的猶予が生まれる。ローソンやリカルドが成功するかしないかという判断も下せるし、下位カテゴリーのFIA F3で活躍するはるかに若く経験の浅いアービッド・リンブラッドにチャンスが巡ってくる可能性もある。(Alex Kalinauckas)
安牌はサインツJr.?
ここ数週間の出来事から、レッドブルはフェルスタッペン援護のために可能な限り強力なチームメイトを用意する必要があることが明らかになった。 速く、技術的な才能があり、経験豊富で、レースで優勝した実績があり、トップチームで結果を出すというプレッシャーに耐えられる人物……さて、現在のドライバー市場に出ている中で、それは誰だろう? そうフェラーリ離脱が決まっているカルロス・サインツJr.だ。 フェラーリでサインツJr.はシャルル・ルクレールと共に頼もしい活躍を見せ、特に昨年のシンガポールGP、今年のオーストラリアGPで素晴らしい勝利を収めたサインツJr.は、この1年半でその知名度を高めた。 その活躍がサインツJr.の選択を妨げている。フェラーリ離脱の日が近づく中で、来季のオファーが来ているのはウイリアムズ、アウディ(現キック・ザウバー)、アルピーヌの3チームとされており、いずれかを選んだとしても、少なくとも来季は優勝を狙える可能性は低い。 そして、サインツJr.が移籍先で悩んでいるということは、レッドブルやメルセデスのようなビッグチームへの扉が再び開くかもしれないという希望を本人が抱いているということを示唆している。そして今、レッドブルの扉が開きつつある。 フェルスタッペンとサインツJr.はトロロッソでコンビを組んだことがある。その時のふたりは上手く歯車が噛み合わなかったが、その理由のひとつはドライバーたちの側近たちによる水面下での駆け引きだった。特にフェルスタッペン”陣営”が仕掛けた駆け引きは、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコが“有毒だ”と表現した。サインツJr.獲得のチャンスが最初に浮上した際、レッドブルが見送った理由の大部分はここにあるのかもしれない。 仮にペレスの不調が続くのであれば、レッドブルは他の選択肢も含め再考する必要がある。 リカルドは“プランB”として呼び戻され、最近のレースではより堅実なパフォーマンスを見せている。しかしホーナー代表が、一時はクビ候補にまで成り下がったリカルドをシニアチームに復帰させるとは考えにくい。 また好むと好まざるに関わらず、レッドブルの実力者はプレッシャーのかかるシニアチームのセカンドシートを任せられるほど角田を信用していない。 そしてローソンはまだ数回しかグランプリに出場しておらず、そのままシニアチームのドライバーに据えるのは理に適っていない。 レッドブルがふたりのトップドライバーを擁してコンストラクターズタイトル連覇を目指すのであれば、サインツJr.を獲得してチームにフィットさせる方法を見つける必要があるかもしれない。 直近のオーストリアGPではホーナー代表とフェルスタッペンの父ヨスが舌戦を繰り広げた。サインツJr.を獲得したとして、上手くチームが回るような安定した環境がつくれるかどうかが課題となる。(Filip Cleeren)