【衆院選・茨城7区】世代交代で初出馬!「無敗の男」の長男が抱く"怒り"
新政権発足後、即解散・総選挙に踏み切った石破茂新首相。各地で慌ただしく戦いへの準備が進む中、15日に公示日を迎えた。裏金問題が尾を引く与党・自民党、野田新代表で巻き返しを図りたい野党・立憲民主党。候補者たちは目がギラギラ。現場は熱気ムンムンだ。衆議院議員選挙2024、その注目選挙区の人間模様をナマ取材した!【衆院選"人間激場"注目選挙区全力ルポ 茨城7区】 【写真】自党の負のイメージをあえて利用する永岡桂子氏 * * * Xに投稿した自らのチラシ画像に、「Rage Against The Machine(レイジ アゲインスト ザ マシーン)でも聴きながらご覧ください」と書き添えたのは茨城7区に出馬の中村勇太(はやと)氏(38歳)だ。 父は立憲民主党の中村喜四郎前衆院議員。同選挙区で圧倒的な支持を受け続け、選挙では「無敗の男」とも呼ばれた喜四郎氏の引退を機に、長男で県議会議員の勇太氏が無所属で立候補した。 対立候補は元文部科学大臣で自民党現職の永岡桂子氏(70歳)だ。7期目の当選(過去6回の当選は前回を除いて比例復活)を目指す永岡氏は"おかあさんの底力で命と生活を守る"をモットーに医療、防災、農業政策に取り組んできた。また「裏金なし! 旧統一教会と接点なし!」とクリーンさも売りにしている。 このように茨城7区は自民党現職に無所属の新人が挑むという構図だ。 15日午前9時、古河(こが)市の公方(くぼう)公園で中村勇太氏の出発式が開催された。勇太氏が6年間で1925回行なった街頭での県政報告のうち、5回はこの公園で実施したという。照りつける暑さの中、300人ほどが集まった。 会の冒頭では司会者から中村喜四郎氏のメッセージが読み上げられた。内容は「過酷な挑戦を選んだ勇太氏が全責任を持って立ち向かうと確信し、喜四郎氏はこの時間、坂東市の支持者の元へお願いに歩く」とのこと。 「勇太さんは喜四郎さんから『努力しろ』ってずっと言われてましたからね」(陣営関係者) 勇太氏は裏金問題の重大性を順を追って語った。チケット販売の成績で派閥内で存在感を示すことで、比例代表のリストに加えてもらうという政治家のあり方を「正すには今しかない」と出馬を決めたという。 冒頭の「Rage Against The Machine」は政治性の強い米のロックバンドだ。訳すなら「機械(=心ない体制)への怒り」。勇太氏の根底にはルールを守らない自民党への怒りがあった。 壇上の勇太氏の言葉にも熱がこもる。 「公約を聞かれるたびに、内閣人事局の廃止や特定秘密保護法の廃止と答えてきましたが、今朝、ようやく自分の公約ができました。 今回当選しようが落選しようが、これからの4年間で、喜四郎が歩いた10万軒を超える軒数を歩きます! 日本で最もストイックといわれた中村喜四郎を超えます!」 勇太氏は会の後、さっそうとバイクにまたがった。勇太氏のモットーは金をかけない政治。バイクで回るスタイルは喜四郎氏から受け継いだ。 対する永岡氏はこの日各地で出発式を終えた後、午後3時30分、JA茨城むつみ三和支店で最後の出発式を行なった。200人ほどが集まり、「食と農と水政治連盟」「理学療法士連盟」「介護福祉政治連盟」など、県内の応援団体が駆けつけ、盛り上がりを見せる。 ただ、陣営は気を抜けない様子だ。中村勇太氏について尋ねると、「強敵ですよ。だって喜四郎さんが勇太さんのために頭を下げて回っているんですよ。7区に再編された下妻市のあたりも喜四郎さんが強いです」(陣営関係者)と話した。 無敗伝説は息子にも引き継がれるのか、それとも現職がそれを阻むのか。