【独自取材】ストレス発散・“お客様は神様”的な発想…そんなカスハラには「電話を切っていい」⁉言葉の暴力から社員を守るため、大企業が下した“強気の決断”
一向に減らない言葉の暴力『カスタマーハラスメント(カスハラ)』。電話対応のオペレーターたちは日々対応に苦しみ、心を痛めています。そんな中、『首都高速道路株式会社』が策定したのは、威圧的な口調などがあった時は電話を切ってもいいという『切電(きりでん)マニュアル』。大企業が下した“強気の決断”―その背景とは? 【写真で見る】「排水溝に捨てた具材を食べされられた」「『交通費と時間を返せ』と土下座を強要」…深刻化する“カスハラ”、60代以上が約半数 日本カスハラ協会理事が提言「お客様は“神様”から“お互い様”」
■「場合によっては、こちらから切ってもいい」首都高が策定した切電マニュアル、その背景とは?
『首都高速道路株式会社・お客さまセンター』は、24時間365日フル稼働。一日約1700件・年間約63万件もの問い合わせや苦情に対応しています。
高度経済成長の真っ只中だった1964年、戦後からの復興目覚ましい東京を舞台に、アジアで初めて開かれるオリンピック―この国家的大事業に合わせて、日本に2つの“大動脈”が誕生しました。それが、東京-大阪を結ぶ夢の超特急『東海道新幹線』と、東京の空の玄関口・羽田空港とオリンピック会場を結ぶ『首都高速1号線』です。
そんな首都高は、いまや全長327.2km、一日の利用台数は約100万台。文字通り、日本の物流・観光・日常の移動を支えています。
それゆえに、モンスターカスタマーからのクレーム電話も桁違いに多く、深刻な言葉の暴力によって、心に傷を負うオペレーターたち…。 現状を見た首都高は、会社として、悪質なクレームへの対応マニュアルを策定しました。それが、2023年5月から導入された『切電(きりでん)マニュアル』です。「30分以上同じ内容の主張、要求内容が不当、威圧的な口調・罵声があった場合は、理由を伝えて電話を切る」ことが、明記されています。
首都高速道路株式会社・CS・サステナビリティ推進部の恩田和典課長は、「今まで電話はこちらから切らなかったが、クレーム・罵声を浴びせられるなどがあり、社員を守るために導入した」「場合によっては、こちらから切ってもいいよという運用です」と話しています。
■「お前たちは何の役にも立たねえ!」「枕詞入れるな、教えてあげるから」「怒鳴ってねーだろうがよー!」実際にあった仰天電話と“切電”対応
実際の音声をもとに、これまで首都高お客さまセンターが電話を切った事例を3件紹介します。
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