学術会議の法人化 会員選考に政府関与せず 有識者懇談会が報告書
日本学術会議を国から独立した法人にする政府方針について話し合う内閣府の有識者懇談会は18日、報告書を大筋で取りまとめた。現行の「国の特別機関」から切り離し、首相が会員を任命する従来の方式をやめることを提言。一方で、首相が任命する監事や評価委員会を置き、活動の透明性を確保するとしている。政府は報告書を基に学術会議とも協議しながら法人化するための法案を作り、来年の通常国会への提出を目指す。 学術会議の見直し議論は、2020年の菅義偉首相(当時)による会員候補6人の任命拒否をきっかけに始まった。焦点の会員選考方法について懇談会は、首相による会長・会員の任命はせず、政府は選考に関与しないとした上で、会員による推薦と投票を組み合わせる方法を提案。また、会員以外で作る選考助言委員会を設置し、選考方針について意見を聞くことも提言した。 会員数は現在の210人から、250人程度に増やす。新法人の発足時は特別に、05年度に学術会議法を改正した際の選考方法を参考に、学術会議会長が有識者と協議して選考委員を任命し、選考委員が幅広く新たな候補者を選ぶ方法などを提言した。これに従えば、20年に任命拒否された会員候補6人を選出することも仕組み上は可能となる。 懇談会後に記者会見した座長の岸輝雄・東京大名誉教授は「政府には報告書を最大限踏まえて法制化に取り組んでほしい。学術会議とは完全には一致していないが、ほとんどの課題は合意する方向に向かった」と述べた。 学術会議側からはこれまで「中立性を損なう恐れがある」などとして、監事などの設置に反対する意見が出ている。学術会議は22日に総会を開き、報告書について会員にはかった上で声明を出す方針。【中村好見】