「春高」逃した高校生に粋なプレゼント、3年生に引退試合用意「夢をかなえるエネルギーに」Vリーグ女子カノアラウレアーズ福岡 元日本代表セッターの母校がエキシビションマッチ登場
白熱の1セットマッチ
23年に創部したばかりの薩摩中央高とは普段から練習試合を組む間柄だという。中学時代に鹿児島県選抜メンバーとして活躍した選手もおり、昨秋は同県の春高予選で8強入りするなど、めきめきと力を付けている。エキシビションマッチは25点先取の1セットマッチで行われ、ポテンシャルが高い選手がそろう鹿児島の新鋭注目校との戦いは白熱の展開となった。 誠修高は3年生がそれぞれの思いをコートで表現した。レフト側からの攻撃を担った宇戸凜々花を中心に序盤は主導権を握った。14―11から4連続失点でひっくり返されても、髙野監督の「とにかく、みんなで声を出そう!」という言葉に奮い立った。16―17から田上陽菜がライト側からのスパイクでブロックアウトを奪ったのを皮切りに怒濤(どとう)の9連続得点。最後はリリーフサーバーでコートに入った古賀美記がアンダーで丁寧に上げたトスを、2年生の楢崎夏美が打ち抜いた。「やってきたことは決して裏切らない。誠修での3年間が自信になっていることが、この試合で改めて分かりました」。古賀はほほ笑んだ。
3年生の「置き土産」が後輩に
ゲームキャプテンの宇戸は関西の大体大、チームキャプテンの古賀は鹿児島の志学館大、田上は関西福祉大へ進み、さらに腕を磨く。「ボールに『恩返し』の思いを込めました。後輩たちは小さな積み重ねを大切にして、絶対に悔いが残らないように頑張ってほしい」。エールを送った宇戸ら3年生の「置き土産」を後輩たちも目に焼き付けた。髙野監督は誓う。「春高には4年間出ていませんが、一度も諦めたことはありません。1、2年生たちとチャレンジしていきます」。記録には残らない「引退試合」で後輩に夢は受け継がれた。(西口憲一)
西日本新聞社