運動の強さは「会話ができる程度」でもいい、脂肪が燃えやすい「ゾーン2トレーニング」
ゾーン2トレーニングのメリット
「骨格筋はインスリンに頼らない方法で血糖を取り込むことができ、運動にはそれを促進する効果があります」とネムコフ氏は言う。血糖値を調整するホルモンであるインスリンの分泌や働きが悪くなる2型糖尿病の患者は、ゾーン2の運動によって別の方法で血糖値を下げられる可能性がある。 持久力型のアスリートにとっては、代謝の柔軟性は強力な武器になる。エネルギー源として、脂肪は糖よりも豊富だからだ。 「運動しているときに脂肪をエネルギー源として利用できれば、糖への依存度を減らすことができます」とホルマー氏は話す。身体が利用できる糖の量は、脂肪よりも少ない。「そうなれば、運動しても疲れにくくなり、それほどエネルギーを補給しなくてもよくなります」 たとえば、最近の研究によると、プロのサイクリストの中でも、エネルギー源として脂肪をうまく使える人の方が、そうでない人よりも成績がいいという結果が出ている。さらに、長い時間の運動に効果的な有酸素代謝が向上し、持久力も上がる。 ゾーン2トレーニングは、定期的な運動を始めたばかりの人にぴったりだ。無理のないペースで持続できるので、翌日にはすっきりし、また運動しようという気持ちになれる。逆に、高強度の運動をしすぎると、燃え尽きるのが早くなり、回復まで時間がかかる。 「運動はつらいものである必要はないのです」とホルマー氏は言う。
文=Rachel Fairbank/訳=鈴木和博