なにわ虎男子 阪神D1位・伊原陵人は「自分が投げていない試合でも一番、声を出す」NTT西日本・河本泰浩監督が証言「体は強い方なので大丈夫」
阪神の新入団選手にスポットをあてた連載「なにわ虎男子」。ドラフト1位・伊原陵人投手(24)編ラストとなる第6回は、NTT西日本・河本泰浩監督(42)が社会人時代の2年間を語る。日ごろから感じていたプロへの熱い思いや仲間から信頼される理由を明かした。(随時掲載) 大商大時代の悔しいドラフト指名漏れを経て、伊原はNTT西日本で再スタートを切った。2年後、阪神のドラフト1位指名として念願は成就。研究の期間に寄り添った一人が、河本監督だ。 「プロに行けなかった大学の時の悔しい思いがあって、『この2年間でプロに行ってやる』という内に秘めたものがにじみ出ていた。妥協せず、自分の時間を一生懸命やった結果かな」 レベルアップするためには、大学時代以上に自主性が求められる中、練習態度は模範的。入社1年目の昨季は夏場以降に調子を落としたが「去年のオフからウエートトレーニングやランニングを欠かさずにやって、それが今年の成長につながったのかな」。筋力や球速の向上に向けてトレーナーらと言葉を交わしながら、メリハリをつけて汗を流す姿が常にあった。 チーム内での信頼も絶大。伊原が打たれれば「取り返してやろう」、抑えていれば「何とかしてやろう」と野手の闘志に火をつける存在だった。チームの先頭に立って戦ってきた証しの一つだが、それだけの信頼が集まる要因はマウンド上での立ち居振る舞いだけではなかった。 「自分が投げていない試合でも一番、声を出すのが伊原なんです。自分の勝利だけでなく、チームが勝つために何をすればいいのかを分かっていて、みんながそれを見ています」 社会人でのラストゲームとなった日本選手権(11月1日、京セラ、ホンダ戦)でも、先発で失点を喫して降板後のチャンスでは、ベンチ内で手をたたきながら仲間を必死に鼓舞する伊原の姿があった。チーム思いの姿勢を行動で示すことができるから、河本監督も絶対的な存在として認めることができた。 「プロの厳しい世界で活躍できるのはひと握りで大変だと思う。そこを狙っていくには本人の頑張り次第。まずはけがなくやってほしいですね。体は強い方なので大丈夫だと思いますけどね」
たどり着いた夢の舞台でフル回転する姿を、楽しみに待っている。(須藤佳裕)