秋季練習に合流した阪神・小谷野栄一打撃チーフコーチ（撮影・林俊志）

阪神・小谷野栄一新打撃チーフコーチ（44）が27日、甲子園での秋季練習に初めて参加し、中野拓夢内野手（28）らに指導を行った。 【写真】現役時代の小谷野栄一 つかみは完璧だった。小谷野新打撃チーフコーチが甲子園での秋季練習に合流。練習前の円陣でユーモアたっぷりの所信表明だ。 「顔が怖くて話し掛けにくいかと思うけど、そこは安心してください」　ひげを蓄え、177センチ、88キロと貫禄十分の新コーチの第一声に、藤川監督やナインの笑いが球場内に響き渡った。打撃練習が始まると、真剣なまなざしに変貌。真っ先に目に留めたのは来季8年目の熊谷だ。 小谷野コーチは「アドバイスというほどの感じじゃない」と多くは語らなかったが、熊谷は「（内容は）スイング時の右足の使い方でした。気さくに話しかけてくれるのでどんどん聞きにいきたい」。一日でコワモテコーチと打ち解けた様子だった。 小谷野コーチは全体練習が終わると、上本打撃コーチとともに室内練習場へ。4年目の今季、自己ワーストの打率・232に終わった中野の特打を見守った。巻き返しに燃える選手会長は「『自分のスイングができるポイントでしっかりと打つことを意識しなさい』と言われた」とアドバイスの一端を明かした。 コミュニケーションを重んじる藤川新体制。虎ナインの心をつかんだ小谷野コーチの周りには、球拾い中に佐藤輝らが歩み寄って談笑するシーンがあった。藤川監督は「また新しい目で見てもらえるという選手の景色が、すごく大事かなと思う。いい秋になりそうだな」と目を細めた。 「みんな思っていた以上に振れる。いろんなものがかみ合えば、もっとレベルアップできるような選手はたくさんいる」 今季のチーム打率・242、同本塁打67本はともにリーグ5位。これも連覇を逃した理由の一つだ。2010年にパ・リーグ打点王に輝いた小谷野コーチが、猛虎打線再生に向けてにらみを利かせる。（三木建次）